ガザラの戦い-Battle of Gazala-|サイフォン&コマンドマガジンが放つタブレットウォーゲーム
ガザラの戦い-Battle of Gazala- こまあぷ‐kama app‐

ガザラの戦い-Battle of Gazala-コラムページ

2014/06/22
Progress Note

 こまあぷ版「ガザラの戦い-Battale of Gazala-」のドイツ軍エキスパートモードと鑑賞モードは、AI搭載作業のフィードバック機能である。

ふたつの追加モード

 こまあぷでは、AIが搭載されていないソロプレイモードと、反転表示されたマッチプレイモードで先行配信が行われる。この後AIを搭載し、コンピュータとの対戦プレイを可能とするモードをアップデートしている。
このAI化作業の過程で、盤面の情報を管理する変数や関数の処理が追加される。これらの機能を用いてシナリオの構成を変更し、よりゲームの価値を高めようというのが今回の主旨である。またアナログ版では、初心者向けに人気の高いドイツ軍が有利であった。しかしベテランゲーマーであれば、ドイツ軍の難易度は高くあってほしいと願うものである。そうした声から、ルールはそのままに勝利条件を再定義して、難易度を高めたものがエキスパートモードである。更に今回、コンピュータ同士のデモプレイを鑑賞するモードも加えた。

ドイツ軍エキスパートモード

 文字通り、ドイツ軍のプレイ難易度を向上させたモードである。今回はデジタル版なので、アナログ版では面倒となる数値の変化処理を加える事にした。数値の変化とは、トブルク守備隊の攻撃力を、盤面の情勢から刻々と変化させる機能である。
WWIIでのトブルクは、イタリア軍の植民地としてスタートするものの、イギリス軍に奪われる。この後ロンメルの攻勢が始まり、リビアの殆どはロンメルに奪還される中、トブルクはその攻勢に耐え続けた。結果、クルセイダー作戦でイギリス軍がロンメルに勝利し、再びトブルクはイギリス軍の支配下となる。こうして発生したのでガザラの戦いである。ロンメルは苦しい戦いを続けるものの、イギリス軍をエジプトへ撤退させる事に成功する。この時、トブルク守備隊は置き去りにされたので降伏し、トブルクは枢軸側に解放される事となる。
こうした歴史を反映し、トブルクを攻略するのは難しくすると同時に、周辺に友軍(イギリス軍)部隊がいなくなったり、味方ユニットが撃破されていくと戦闘力(士気を含む)が次第に低下していく事で、攻略は容易になるという表現を反映させた。

エキスパートモードの意義

 そんなウンチクはどうでも良い事であるが、今回やりたかったのは、計算式の調整でコンピュータを有利にするだけの難易度設定からの脱却である。デシタルゲームで昔からよくある手法だが、ユーザーの満足度は得られないと前々から感じていた。もちろん、それで楽しめるコアユーザーがいるのは事実だが、これはプログラム的手法であって、ゲームデザイン的手法ではない。またよくある選択式のルールも、それがコンピュータの行動に反映しているかと言えば、疑問が多い作品が多かった。そうしたこれまでの経験からの提案が、今回のエキスパートモードである。
設定されたルールや勝利条件は、一体何を表現しているのか。こうした設定の読みから考える力が養われ、知識が欲しいと思うから知識を漁る。極々普通の行動であるが、そんな展開に結びつかなくなってきたのは、こうした設定がそもそも皆無な製品が多いからである。若しかしたら、リサーチの段階では存在していたものの、ゲーム化していく段階で失われているのかもしれない。だとしたら、デジタルのゲーム作りが大型化した弊害であるとも言える。今般、こまあぷでは小型化したチーム編成で取り組んだので、この部分の取り組みには向いていた。ともあれ、ウォーゲームの面白さを拡げるには、こうした取り組みが重要であると考える。

2014/05/18
Developer Note

 今般、こまあぷ版「ガザラの戦い‐Battle of Gazala‐」にコンピュータとの対戦モードが追加されたので、こちらの裏話を展開し、そこからのフィードバックの可能性を提案したい。

ドイツ軍プレイ(イギリス軍AI)モード

 当初よりこのゲームの肝は、イギリス軍AIにあると考えていた。ユニット数は多いものの、レートでドイツ軍に劣り、実際、ソロプレイでも6~7割の確率でドイツ軍が勝っていたからである。
ドイツ軍を有利にしている理由のひとつとして、退却を吸収できるロンメルゾーンの存在がある。つまり、この状態を避けて戦う事がイギリス軍を有利にさせる戦術となる。その戦術としては、戦線を後退させ、ロンメルゾーンが使えない様にし、後退させた防御線で敵の攻撃を減衰させて、その後方の予備で打撃力を行使する、という機動防御戦術が効果的である。また終盤は、ガザラやトブルクの防衛も必要となる。という事は、盤面の状況と、イギリス軍の勝利を導く時間軸から判断して、各部隊の任務を変化させなければならない。
こうしたAIを構築する事が、後々は独ソ戦ゲームにも転用できると考えた。だが予想の倍程の時間がかかり、組み上げに1週間、調整に1週間を要してしまった。結果、分割アップデートとなってしまう。その理由に、追加で組み込んだ変数処理の配列エラーが多く、何かの機能を加えると連動してエラーが生じて止まる、そのエラーの対策を施す、という処理を繰り返すシミュレーションゲームならではの問題があった。そこでエラーが発生しやすい処理を停止し、とりあえず動く状態でアップデート。次いで、判定が多くエラーが出ていた防衛ルーチン稼動のアップデート、そしてイベントの追加アップデート、という手順にさせてもらった。

イギリス軍プレイ(ドイツ軍AI)モード

 作る側からすると、ドイツ軍AIは楽である。工数差で言うと、10倍ほどである。その理由は、ドイツ軍は勝利条件が明確であり、移動・攻撃対象を計算しやすいからである。上記の通りイギリス軍の場合は、後退戦術を必要とし、防御戦から反撃、そして防衛、更に時間切れを待つ、この様に複雑な行動を切り替える必要があるのたが、ドイツ軍の場合はトブルクが難しいならガザラへ進路を切り替える、大まかに言うと活動パターンはそれだけで良い。
勝ちやすさだけで判断すると、、できるだけ戦闘を回避しつつ、最短でトブルクを目指す行動が一番理想的である。だがそれを察知され、トブルク周辺を固められても、ずっとトブルクを目指すのであれば興が醒める。そこで、盤面の状況から侵攻方向を変化させる事にした。
こうして、トブルク解放とガザラ制圧型勝利のどちらかを目指す、活動パターンを切り替えるAIは構築された。次は部隊の行動ルーチンの構築であるが、一番厄介なのは補給回復ルールだ。これはどのタイミングで使うかが、人によって最も異なるルールである。補給が切れたからといっても対等な戦闘が可能であり、時間を優先するか、戦闘勝利の確率を優先するかと、人それぞれのプレイスタイルによって異なるので、こうしたルールはどの様に組んでも違和感が生じる。ひとまず、一定の法則化をして動かし、随時調整をかけていく事にした。こうしてドイツ軍AIが出来るとコンピュータ同士の対戦が可能となり、テストプレイが楽になった。前記の配列エラーを含め、分岐の漏れや調整スピードが格段に向上したからである。

フィードバックモードの提案

 今般AI化を進めるに至り、信玄上洛と太平洋決戦におけるソリティアシステム構築の経験から、大きなフィードバックを得られていた。両ゲームでは、各陣営の成長・展開スピードを、史実の速度に合わせて調整するノウハウを経験しており、こちらを戦略モードとしてフィードバックできた。また戦闘シーンで展開する打撃力の行使を、成長スピードと連動して調整するノウハウを戦術モードへフィードバックできた。
また、これまでの経験測から陥りやすいと思われる要素を排除した。特に今回はヘックス戦でもあるが、作戦級ゲームでもある。先にユニットの行動パターンを作ってしまうと、それが全体の動きを形成してしまい、効率的な作戦遂行を困難にする事態を避けた。パターンを作る側からすると、それまでの労力が消える無念さは理解できるが、だからといってゲームのルールを無視したパターン作りは、結局は無駄に終わる。そこで、盤面の状況を分析するルーチンから制作し、そこから活動パターンを決定して行動パターンを選択、その行動パターンの中にユニットの動き方を入れた。
サイフォンスピリッツはこうして作られたAIであるが、今回「ガザラの戦い」に組み込んで行く過程で、様々な成果を得られた。その中から、ふたつのフィードバックをユーザーへ還元できそうである。
ひとつは「鑑賞モード」の追加。そしてもうひとつは「プレイモード」の追加である。前者はCOM同士の戦いを見るだけであるが、後者は難易度や視点を変えたものを提供できそうだ。特に今回のAI化にあたり、盤面の状況を計算する為に多くの変数を設定した。この変数処理の応用で、工数をかける事なくシナリオを改造できそうだからだ。iOS版の配信開始後、こうした提供を検討してみたい。

2014/05/10
Designers Note

 デザイナーズノートとは言っても、「ガザラの戦い」そのもののゲームデザインは、中黒靖氏である。ここでは、どちらかと言うと、ディベロッパーズノートに近い形で展開したい。

ソロプレイ(作戦研究)モード

 ソロプレイモードは最初に作るべきとした。これは信玄上洛Android版を作った時に、テストの速度と回数が格段に向上した為だ。ちょっとした移動時間でもテストできる事が大きかった。
デジタルゲーム業界では、寝ている間にプログラムを走らせ、そのログを追って解析する手法が多い。だがリアルタイムで目視し、それを追う方が強いに決まっている。その時間を確保するのに、一番都合が良いのが移動の時間である。
また移動時でも確認できるという事は、就寝ギリギリまで確認に費やす事が可能である。こうして「ガザラの戦い」ではソロプレイモードが最初に出来、そのフィードバックがAIシステムの構築となる。

マッチプレイ(反転表示)モード

 実はこの仕様は、最初に想定していなかった。3月の会議にて、追加決定した仕様である。やはりアナログゲームからの移植である事と、そうしたユーザー層に受ける事が、こまあぷ企画の本質であるので、この仕様を取り入れる事にした。
しかしながらこの仕様は、見た目以上に内部データの構造変更が多く、こまあぷクラスの規模であるならば、一本分の追加工数を必要とした。だが今回、一度組んでいるものを変更する過程で、様々な試みを行えた為、今後の工数削減に繋げる事が出来るだろう、という読みも生まれた。また対戦する上で、横に座ってやるより、机を挟んでプレイできる雰囲気は大きい、という事も感じ取る事ができた。

勝利条件について

 実はサイト公開時、勝利条件の順位は今とは違っていた。単にテストして勝利しやすいと思う順序に並べており、そのままサイト公開へ進む。そしてサイト公開後も、配信開始までテストは続いた。
テストは続くものの、上記のマッチプレイモードで生じたバグの修正に時間を費やしていた。それまで勝利画面は、四種の条件に分けた仮画像を使っており、画像には将来の戦況図と差し替える予定にしていたものの、手が回らず後回しにしていた。
このタイミングで中黒さんより、写真モチーフでテキストを追加した勝利画面にしたい旨の連絡を受けた。こちらとしても、非常に有難い申し入れだったので、それを受け入れる事にした。そこでのやり取りで恥ずかしく感じた事が、先にあげた勝利条件の順位であった。簡単に順位を付けていたものの、中黒さんの中で優先されるべき勝利条件は、史実型勝利のガザラ地区制圧であり、トブルク占領型の勝利は、選択型の勝利条件であった点である。この点が全く読めていなかったのであった。
確かに現在のバランスでは、ガザラ1箇所の制圧の方が、ガザラ陣地等の歩兵5ユニット殲滅より、条件が緩いかもしれない。そこで近い将来、余力が出た時に、こちらのバランスを調整したドイツ軍エキスパートモードなども追加できればと考えている。

補給不足の概念について

 ガサラには「補給不足」と「補給回復」というルールか存在する。ドイツ軍のユニットが、戦闘時のダイスで5か6の目が出た婆いに、戦闘力が2に落ちるというイベントルールである。また手番を消費し、回復させるものである。このルールを、当初のバージョンでは「補給切れ」と「燃料補給」としていた。テストをしていて気付いたのであるのが、このルールはダイスの目が高い場合に生じるイベントルールであり、その後も移動の制限は無い。つまり、燃料をターゲットにしたルールでは無く、およそ、弾薬をターゲットにしたルールである。
こうした点は、寝ている間に作られたログだけ追っていても、絶対に気付かない。目視で追っているからこそ、その場で気付いた事である。この点からも、ソロプレイの重要さを再確認できた。

AI化について

 ゲームである以上、ドイツ軍プレイモードと、イギリス軍プレイモードを追加する事にした。やはり、アナログゲームを知らない多くのプレイヤーからすると、コンピュータとの対戦がないものは、ゲームという認識ではなくツールとしての認識である。
今般、ウォーゲームの面白さを広げよう、という目的からすると、この機能はどうしても外せない。またミニゲームだからと言っても、プレイに満足できる内容で無い場合、その魅力は伝わらないだろう。そこでAIに関しては、より人間の思考ロジックに近い処理とし、データの構造も軍隊の組織を表現したものとする事にした。少し面倒ではあるものの、将来のカスタマイズ性を考えると、その方が良いと感じたからである。このシステムを「サイフォンスピリッツ」として開発する事となる。

(サイフォンスピリッツの内容に関しては、こまあぷニュース140513号にてご紹介)

2014/05/05
Project Note

 今回は、こまあぷの誕生経緯や、最初の製品である「ガザラの戦い-Battle of Gazala-」が登場した経緯を展開したい。チラシ版「ガサラの戦い」が登場した経緯に関しては、別途、機会があれば中黒靖氏にお聞きし、展開できればと思っている。

こまあぷの成り立ち

 そもそもの「こまあぷ」の成り立ちは、「信玄上洛デジタルアプリ版」の開発の遅れに始まる。Android版の開発が1012年5月から12月へ遅れ、この間に独ソ戦ゲームの制作を始めていた。
ソリティアシステムという事もあり、太平洋決戦で用いたエリア型で設計していたものの、独ソ戦の雰囲気を出すには不十分であり、ヘックス戦を検討する余地が生じた。不十分であった理由は、独ソ戦の雰囲気に重要な、戦線の構築であったり、主戦線と第二戦線の存在であったりと、エリア型では戦線というイメージが生まれない事が最大の理由である。そこで信玄上洛のシステムを考えたが、独ソ戦が植民地戦争でたったかは別として、陣取りのシステムではやはり独ソ戦の雰囲気に至らない。最大の理由は、仮に植民地戦争としても、それが失敗していたからだろうと結論付けた。この時点で、やはり戦線の流動性が必要だと再認識する。しかし、この時点で信玄上洛のAndroid版のリリース時期となってしまい。こちらへ没頭せざるを得ない状況となった。

 次に訪れたのが、またも信玄上洛Windows版の延期時であった。1013年5月が7月に、7月が9月に、9月が11月に伸びた。だがこの時は、シナリオ5本の制作と、ムックの制作も重なり、連続した時間を取る事ができなかった。
そこでヘックス戦のソリティアルールを研究する事にした。ひとつはアナログ版のソリティアルール、もうひとつはデジタルのAI化である。ただ、断片的な時間で研究しても成果は上がらず、そのまま信玄のシナリオとムック作りに入ってしまった。そうなると、当然、また何もできなくなる。という具合に、約二年間を棒に振ってしまい、アナログ版のゲームも独ソ戦のゲームも、この間出せなかった。

 更に言うと、この間、大きな出来事があった。空母決戦以来、最初に加わったスタッフが抜け、新たな体制作りを行う事となった。そうして最初の年に、足元の広報体制と資材の制作体制を整える事にした。二年目がゲームの制作体制である。
一年目はある程度上手く行った。理由は、皮肉にも信玄の遅れである。ここでの時間を、育成機関に回す事が出来たのである。但し二年目はそう行かなかった。こちらも信玄の遅れがあったものの、何分、シナリオ5本とムック112ページの制作があり、育成にまで手が回らなかったのである。なので実際には、PC版信玄の発売する頃からが、育成のスタート時期となった。

 幸運であったのはちょうどこの時期、Unity2Dモードが追加された。これが信玄で採用した3Dモードと違って使いやすく、オンボードグラフィックのPCやAndroid機の多数でも、不具合は少なかった。
そこで、このUnity2DモードとC#を組み合わせて、インターン生にミニゲームを作らせる事にした。インターン生にしても、この組み合わせを触っておく事は、将来、役に立つだろうと思ったからである。そうしていくつかのミニゲームが出来た。インターン生はそのまま就職を希望してきたので、正式にスタッフに組み込む事にした。
年が変わり、新年の初詣に大阪へ行った。この数年、こうして大阪へ行き、真田幸村を祭っている三光神社へ初詣に行く事が行事となった。当然ながら国際通信社へもお寄りしてご挨拶している。その場で出たのがチラシゲーム「ガザラの戦い」であった。

 中黒さんとは以前より、一緒にウォーゲームを盛り上げていこう、と言う話が続いていた。そこで、この「ガザラ」(既に配布後数ヶ月が経ち話題になっていた)を移植するとどうなるか、という話になり、開発途中の独ソ戦用ライブラリを用いる事を検討してみた。
こうして「こまあぷ」の原型となる企画が登場した。名称が決まったのはもう少し後の事である。最初に企画のコンセプトを纏める事から始まるが、コマとダイスとヘックスの表現に集約する、という事に異論は出なかった。今回のメンバーからして出るはずも無く、こうして最初の敷居を乗り越えた。

 商売的な表現で申し訳ないが、今回のメインターゲットは、50代以上のお父さん、お祖父さん世代である。ウォーゲーム第一世代、第二世代、と言う方が正しいのかもしれない。それに続くユーザー層はその子・孫の世代、10代~20才前後である。前者は、ウォーゲームから離れている方々の復帰を目指している。また後者は、新たにミリタリー・ウォーゲームに興味を持ち始める世代の間口として提供できるものを目指し、これを現代テクノロジーである「タブレット」を用いて再現する事にした。
こうした事を考えると、多くのウォーゲーマーの方が想像するのは、かつてエポック社が展開していたEWEシリーズである。自身、日本海海戦はこうして手にしたし、その延長で、ワールドウォーシリーズの日本機動部隊を手にした。そうして次のステップへと進んでいき、次第にミニゲームを小馬鹿にする駄目な時期があったものの、今考えると、EWEシリーズが果たした役割はあまりに大きく、今回、その志を目指す事ができたら、という思いからの立ち上げである。

こまあぷの展開方法

 信玄上洛において、Android/iOS/Windowsと展開してきた経験から、それぞれの良い所、駄目な所が見えてきた。この点を踏まえ、こまあぷでは、最も効率が上がる展開方法を取る事にした。そうしないと、年10本を目標としているボリュームが展開できないからである。
まずAndroidは、この二年間で凄く良くなってきた。特に開発環境ではiOSの駄目な所を研究し、展開している節を大きく感じる。そのiOSは、OSの設計思想をどうにかしないと、今後の展開は難しいかもしれない。元々音楽とムービーを見られる程度、という思想だったのかもしれないが、ゲームの開発にはあまり向いていない。恐らく現在の状態が限界ではないだろうか。Windowsに至っては迷走が激しく、何をどうしたら良いのか現段階では正直わからない。Windows8.1で何をやりたいのかは、ようやく少しは分かってきたものの、普及が進まず、使い勝手もよくない為、将来性を感じる事ができないのだ。

 こうした現状を踏まえ、iOSでも展開できる内容をAndroidペースで開発し、先行して展開。その後、iOSへ持っていくという考えに至った。テスト環境などが充実しているAndroidベースで先行展開して、後から他所へもって行く方が、結果的に工数を大きく削れると判断したからである。
残ったWindowsは、メモリを大きく使える以外にメリットがなく、従来のインストーラーを用いたアプリケーションのあり方を、マイクロソフト社が奨励していない上、機種依存の問題も多く残っている。また販路も厳しく、アプリケーションそのものは作りやすいが、最も売り難い市場となってしまっている。今回は、Androidで出来る事をそのまま持っていく事で、リスクを軽減したい。
それと今回、Unity+C#という開発環境で展開しているので、VITAへ持っていく事も検討課題としている。またHTML版での展開も視野に入れたい。

 以上の内容で、アナログゲームでゲームを制作、それをAndroid版へ移植し、ソロプレイ版として国内で先行展開。AI実装をその後施し、その状態でiOSやWindows、そして海外展開へ繋げたい。その過程で、VITAやブラウザ化を図っていくという構想である。