デジタルアプリ版デザインコンセプト
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ディベロッパーズノート
■アナログからデジタルへ
今般、アナログからデジタルへ移植する事となった中で、当然、根本が違う箇所が出てくる。 アナログではマップの切り方で固定していた見せ方が、デジタルでは可変せざるを得ない。 また、アナログの計算処理は瞬く間に終わらせる事ができる為、そのままではあっという間に終わってしまう。
前者の見せ方で言うと、これまでもWindowsにてスクエアかワイドかという問題があったが、更に縦長か横長かという問題が出てくる。 だが、これはこれでいろんな見せ方が出来ると割り切り、デザインを進める事にした。
後者の処理時間では、テスト時間が圧倒的に短く済むので、いろんな設定を試す事が出来ると割り切った。 結果として、ユニットのレートが同じであれば、計算式をいじったところで、結果は殆ど変わらないという事も分かった。 タイムスケールが変わるくらいの変化はあったが、バランスという点での違いは、大きく感じられないという事である。 つまり、CRTを使って設計していたアナログ版のルールを、そのまま持ってきても何の問題も無い事が分かった。
相手の行動が分かっている中で、自身の行動を決定するソリティアシステムにおいて、このCRTをそのまま使うメリットは大きい。 発生し得る結果を予測した中で、自身の行動を選択できるからだ。 成功確率が高い行動を取るのか、リスクはあっても効果の大きい行動を取るかなど。 選択肢が見える中で判断できる事は大きい。
それともうひとつ。AndroidMarketがGooglePlayと名称変更した頃、配信の延期を内定した。 先行して参入している方々からも、景気の良い話はなかったし、名称変更が現実を物語っているのだろう。 という事で配信を延期する事になる。 そして延期する事によって生まれた時間で、合戦画面へ武将グラフィックを追加する事を決定した。
■製品構成
アナログ版の段階で、練習シナリオを取り入れていた。 今回はこれを使って、体験版を作ろうという事になる。 Android版からスタートする事になっていたので、体験版として、正常にダウンロードできるか、ユーザー側の機体で動作するか、この二点をチェックできる事として、ファイルサイズを同等とし、画面のスクロールや伸縮、切り替えが可能であるシナリオ1「西上作戦」をそのまま使う事にした。
また製品版には、シナリオ3「信玄上洛」を入れる事が順当であるとして、次に合戦チュートリアルとしていたシナリオ2「長篠合戦」の存在が提起される。 アナログ版では3ターンで設計されており、これをそのままシナリオにしても、面白みが無い。 説明を増やし、長篠合戦を解説する方法もあったが、今回はシナリオを拡大し、もう一本、新たにシナリオを作ろうという事になった。 これが後で追加された新シナリオ2「長篠決戦」である。
このシナリオ2を追加する直前に、問題が発生した。 Android2.2という古いバージョンのOSで、別売り予定のシナリオ4「御旗楯無」が正常にアップデートできない問題が判明したのである。再インストールすると解決する問題であったが、問い合わせを頂いても対応が困難であったので、配信日を一週間遅らせる処置を行った。 急に浮き出た問題でもあったので、安全策を取り、当初別売りの予定にしていたシナリオ4は、シナリオ追加のアップデートという事で対応する事に変更した。
シナリオ4はシナリオ2と3を合わせたシナリオとなるので、これで武田に絡むシナリオが製品版に収録された形を取る事ができた。 他の勢力である、織田信長、上杉謙信、今川義元などのシナリオは、別途、シナリオ集という事で収める事にして分けた。 iOS版も同等の形式を取る。
Windows版では、これにシナリオエディタを加えたバージョンを追加する。 PCのエディタで作られたデータは、携帯やタブレットでも遊べる様にするので、これで趣味の循環を作れる様になるだろう。
■各勢力の調整
信玄上洛に登場する各勢力は、基本的にアナログ版でのバランスを踏襲しているが、ソリティアで動かすので特に次の点に留意し、移植・調整を行った。
-武田家-
武田家は、製品版においてプレイヤー側が担当する勢力である。 エリア数が甘めに映るが、各エリアは敵勢力と隣接しており、余剰戦力の抽出に苦労する為、あまり楽な展開はできない。 また木曾口エリアという、マップの中心に描かれたエリアを所持する場合が多いが、このエリアも然りで、織田・徳川に隣接している為、持っていても持たなくても、実はあまり変わらないエリアとなる。 そうした武田方の基本戦力としては、敵を絞り、戦力を集中して制圧を急ぐ事である。多面作戦を展開すると苦労するだろう。
-織田家-
織田家はプレイヤー側の最大の敵となる場合が多い。 また追加シナリオの「叡山焼討」においては、プレイヤー側が担当する勢力となる。 信玄の上洛戦時において、武田側とほぼ同等の戦力を保持しているものの、浅井・朝倉が邪魔をしてくる為、武田に集中できない。 更に「叡山焼討」シナリオでは、比叡山の延暦寺勢力も浅井・朝倉に加担する。 長島の制圧には、延暦寺と浅井・朝倉を制圧し、戦力を増やす必要があるだろう。 これらのエリアを制圧する時間と、武田の侵攻時期が戦国のクライマックスとなる決戦を誘導する。
-徳川家-
徳川家は織田家の同盟を貫く。 同盟とは言っても、的確な表現としては従属勢力である。 織田からすると武田の防波堤としての役目であり、実際、武田が西進を始めると、徳川領が真っ先に矛先を向けられる。 この勢力を残したままでは、木曾口・南信濃・駿河などを侵食されるからである。 逆に言うと、この勢力が3エリアほど保持した場合、武田からすると厄介な勢力に成長する。
-上杉家-
上杉家は兎に角強い。 これは謙信の能力から生まれる強さであるが、3~4ユニットで攻められると、1ユニットだけで守備しているエリアは蹂躙されてしまう。 但し、その強さから敵のエリアへ突出していく場合も多く、突出した隙を突き、北条との共闘で潰す事も可能としている。 また多くのシナリオでのギミックとして、謙信の後継は武田が選択する事にしている。 景虎を選ぶと、上杉・北条と同盟したいる事となり、後顧の憂いがなくなる反面、北条の勢力が拡大する様に見える。 景勝を選ぶと上杉と同盟し、北条と敵対する。 このイベントを利用し矛先を変え、北条を潰す事も可能としている。
-北条家-
北条家は、上杉か武田のどちらかと抗争を続ける勢力としている。 いわば関東のバランサーとしての勢力と位置づけた。 房総半島をエリア化していないものの、3エリアを所持するので、不意に3ユニットで攻められるのは痛い。 甲斐など1ユニットで守備していても、いきなり1ターンで制圧される可能性は低いが、決してゼロではない。 そうした武田からしても悩ましい存在としている。
-浅井・朝倉家-
浅井・朝倉家は、朝倉の勢力としてまとめている。 史実通り、織田家のライバルとして位置づけ、比叡山、近江、岐阜と侵入を繰り返すが、決定的な打撃力が不足する。 時間と共に、織田に制圧されるだろう。 逆に、このエリアを制圧した織田は、徳川領を制圧した武田より大きくなり、長島を制圧する戦力も得る。 そうした織田家勢力のバロメーター的存在としている。
-長島一向宗-
長島は、本願寺が掌握しているエリアのひとつであり、一向宗の拠点でもある。 加賀と能登も本願寺の掌握エリアであるが、この長島エリアはゲーム内での重要度が違い、織田の成長を止める役割を果たしている。 このエリアへ侵入した織田は相等の被害を受ける事から、浅井・朝倉の制圧前の長島制圧は難しいだろう。 という事で、織田を長島へ向かわせたり、浅井・朝倉へ向かわせ、織田の成長を調整する勢力とした。
-足利家・六角家・雑賀衆-
京の足利、伊賀の六角、雑賀の雑賀衆は、ゲームのフレーバー的存在である。 伊賀を制圧するメリットはなく、雑賀も同様である。 ゲームの中では、これくらいのギミックがあっても良いと思い、アナログ版の設計時に登場させた。 雑賀衆は雑賀孫一と共に、長島の防衛戦で本願寺に加担し暗躍する。 当初から入れておくと、後でエディタを作る時に苦労するだろうが、面白い存在になるだろうという事で登場させた。