デジタルアプリ版デザインコンセプト
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デザイナーズノート
中世・戦国の表現をゲームに落とす事は、これまでアナログ版や別のページで展開してきたので、ここでは各シナリオで調整してきたミニアムな事を展開していきたい。 戦国ストラテジーゲームではなく歴史シミュレーションとして、各勢力のヒストリカルな動きや、時間軸との調整に注力して調整を進めた。多くのシナリオで織田と武田が二大勢力であるが、浅井・朝倉、上杉、北条といった中間勢力の動向や、長島や加賀など一向勢力、徳川や六角のポジションなどにも注力した。そうした中で、プレイヤーの判断が歴史シミュレーションの中では、特に重要だと感じていたからである。ストラテジーなら難易度が重要視されるが、歴史シミュレーションとしての背骨を重要視した格好だ。
■中世と武士団の投影から
多くの戦国シミュレーションゲームでは、近世の武家社会のシステムが採用されている。これは太閤検地以降、織豊時代と呼ばれる武家社会をモデルにしているからであろう。言い換えると、全ての大名へ織田~豊臣家のシステムが採用され、その中でプレイする事となる。
このシステムの良い点として、弱小勢力でも天下人となれるチャンスが発生する。それと相対的に、大勢力は弱くなる弊害もある。これが難易度へ繋がり、そこから面白いストラテジーゲームが成立するだろう。
だが逆に考えると、強い織田や武田、怖いくらいの上杉という存在が薄れてしまう。弱い勢力が強くなるのだから、これは仕方がない弊害だろう。信玄上洛ではこの点へメスを入れる事としてきた。特にデジタルアプリとなって、処理をコンピュータが行ってくれると、様々なイベント処理を実装でき、アナログでは削減してきた世界観を投影する事が可能となった。
室町時代の特徴である「上洛」とは何なのか。それは何を目的とした戦いで、終着点は何所なのか。また「信長包囲網」はどの様な過程で発生したのか。それは極めて特殊な状態なのか。それらをシナリオとして表現する過程と裏話を展開したい。
■シナリオ1「西上作戦」
こちらは当初からチュートルアルシナリオとして設計した。勝利して当たり前という中で、何をユーザーへ与えるか。それは基本システムの習得である。そう割り切ったシナリオである。
だがそうした中でも、史実では到達できなかった尾張までの到達を目標とし、三方ヶ原の戦いのイメージから、無敵に思える武田軍であっても、徳川の攻略にはそれなりの時間が必要な点を表現している。
■シナリオ2「長篠決戦」
勝頼の高天神城攻めに始まるシナリオとして、デジタルアプリ版でリニューアルさせた。織田が浅井・朝倉を攻め滅ぼした時期からスタートする。 この時期を選んだ理由は、織田はコンピュータが担当するので、浅井・朝倉を攻め損なって弱くなっても面白くないと感じたからであった。
更に長篠合戦をそのまま再現しても、信玄上洛のシステムでは面白くない。そこで、織田の長島攻めと武田の徳川攻めのスピードを競わせて、決戦へ持ち込むスタイルを取る事にした。その時期が1574年だったのである。
またこのシナリオでは、上杉への対応にも目を向けた。参戦判定が発生しない比率にする為、十分な戦力を北方へ置くと、上杉と戦う事は阻止できるだろう。 また上杉は北条と抗争中の為、関東方面へ突出したり、逆に押し込まれたりもするし、その隙を突いてたたみ掛ける事も可能だ。この選択権をユーザー側が持つ事にした。正攻法で徳川を潰し、織田との早期決戦プレイに飽きたら、こうしたプレイも試して頂きたいという思いがある。
■シナリオ3「信玄上洛」
信玄の西上作戦を表現する為に、それ以前の対北条戦からの設定とした。ここがシナリオ1の開始時期と違う点である。この時期を選択した理由は、後顧の憂いを抱えたまま早期の上洛戦を仕掛けるか、史実同様それを無くし、西上作戦に集中する事の違いを体験して頂きたいという思いからである。
武田の最盛時期を切り取っている事から、難易度は低いものの、信玄の死亡イベントがある為、時間をかけすぎるとタイムオーバーが発生する。また、このシナリオの開始時点では、武田と織田の戦力比は同じである。という事は、同盟者の徳川の分だけ織田が優位であり、徳川を落とすと武田優位へ逆転する。 史実では徳川を攻め落とす前に信玄が没したので、この戦力比の問題は勝頼に引き継がれる事となった。
■シナリオ4「御旗楯無」
このシナリオはシナリオ1「西上作戦」と同じ時期からのスタートとなる。 北条との講和が終わり、開始と同時に対徳川戦へ集中できる。但しプレイ期間は長く、長篠合戦の翌年まで続く。 シナリオ2と3を合わせ持つシナリオであるが、これはプレイヤーが武田家を運営する為に設定している。 信玄と勝頼の二代に渡って、上洛を目指すシナリオである。
調整中、一番の問題は信長の成長スピードであった。 シナリオ2と違い、浅井・朝倉が存在する。順当に織田が彼らを攻め潰さないと、中盤以降がダレる。後半が消化試合に終わってもつまらない。
プログラムで順当に成長させるのは簡単だが、せっかくソリティアシステムを組んでいるのだから、そのシステムに乗って成長させたい。また成長させる為に手を抜くのも簡単で、長島攻めを浅井・朝倉の後に設定すると、順当に成長できるのは分かっていた。だが、史実を反映させ、一度は長島を攻めさせて、簡単には落ちない拠点である事を表現した上で、浅井・朝倉を攻め滅ぼし、その戦力を以って長島を落とす、という事を表現したかった。そこで長島を攻めに失敗して撤退すると、戦力比の関係から、長島ではなく次点の北近江で参戦確率を発生させた。こうして北近江へ進むと、そのまま若狭、次いで越前へ進む可能性が高い。それらを攻略後、切り返して長島を攻めると織田の動きが表現できる。希に長島が先に落ちる場合もあるが、ゲームのバランスとして良くなった。
■シナリオ5「上洛でごじゃる」
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こちらもシナリオ2同様、デジタルアプリ版で大きくリニューアルさせた。エディタの機能を利用し、「上洛戦とは何か」を体験するシナリオとして再設計した。
アナログ版では、東海地方の制圧を目指したシナリオとしてものの、こちらはガチで今川の上洛戦を展開する。言わばファンタジーシナリオとなるが、同時に追加されたシナリオ8「戦国婆娑羅」とシナリオ9「関東管領」を意識し、これらが東西で発生している最中、上洛を目指す事を時代背景として設定した。
プレイヤーは足利一門として、足利義輝の同盟者を攻める事は出来ない。その点から戦力の補充に苦しむ事となるだろう。それが今川の上洛戦である。瀬戸ルートで六角と一緒に三好を攻めるか、紀伊ルートで一門の畠山と一緒に三好を攻めるか。若しくは、ふたつに分割して攻め立てるかの選択を行う。
■シナリオ6「謙信上洛」
アナログ版で最初に追加されたシナリオである。基本的にアナログ版に近い設定であるものの、勝利条件やイベントの調整で、難易度は非常に高くなった。
強大な織田と強力な上杉という構図であるが、武田の助力がないと、織田には勝ち続けられないと定義し、史実とは異なり武田(勝頼)は活発的に行動する。その隙を突いて、織田との決戦に持ち込む構図を取った。但し、北条は敵のままなので、無視すると痛い目に合うだろう。
プレイヤーの選択肢としては、長年敵対してきた本願寺との講和を行うかどうかである。講和すると、越前の攻略で本願寺の助力を得る事ができる。講和しない路線では、加賀の戦力を自軍に組み込める。越前の攻略を優先するか、加賀の掌握を目指すのか、一見、違いが無い様に見えるこの選択を体験する事ができるだろう。
■シナリオ7「叡山焼討」
織田信長を担当し、シナリオ4「御旗楯無」と逆のパターンのシナリオとなる。このシナリオもアナログ版で追加され、ほぼそれを再現している。
第二次信長包囲網が始まる頃からを再現しており、プレイヤーは周辺勢力の攻略順を選択できる。史実では、長島の攻略も、浅井・朝倉連合軍との戦いにも、苦労していた信長であったが、浅井・朝倉に助力する延暦寺を焼討ちし、次いで浅井・朝倉を滅亡させた。そうして浅井・朝倉領に新しい街づくりを行うが、現在はこれらが信長の行動モデルとされている事が多い。つまり、ここから信長の勢力は強大化していく。
その過程を体験する事となるだろう。武田との決戦ポイントとタイミングをどうするか、その事を決定しなければならない。
■シナリオ8「戦国婆娑羅」
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Windows版より追加されたシナリオである。プレイヤーは南近江の六角義賢を担当する。
ここでは従来のプレイと異なるステイルを提供する事を前提とした。所謂、上洛という概念と、この時代の戦いはどうした構図で行われていたかを再現する。将軍の為に戦うとはどういう事か。また蓄積できない戦力での戦い方。それを定義する事で、室町時代の戦いを表現してみた。
また細川晴元に変わる三好長慶という、非常に厄介な存在を表現し、これに当たっていた足利義輝の存在にフォーカスしたシナリオでもある。シナリオ5「上洛でごじゃる」と同じ時代を切り取ったシナリオである為、異なるプレイスタイルに注力してみた。
■シナリオ9「関東管領」
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こちらもWindows版より追加されたシナリオである。プレイヤーは越後の長尾景虎を担当するが、こちらのシナリオの難易度は低い。
表現しているのは、関東管領と関東経営を長尾景虎が引き継ぎ、その意義を表現する為にシナリオ化した。またシナリオ5「上洛でこじゃる」を引き立てる為、バックグランドシナリオとしての意義を置いた。関東でこうした戦いが行われている中、畿内では三好との抗争が続き、東海地方では桶狭間が発生した。
畿内と関東とで対立していた室町時代の出来事を表現する為、関東管領の存在を注力してみたのである。
■シナリオ10「義昭追放」
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こちらはシナリオ追加キャンペーンで登場するシナリオである。プレイヤーは織田信長として、シナリオ7「叡山焼討」とは異なるプレイスタイルで楽しむ事ができる。
Windos版の特典冊子の中で語っている上洛戦について、それを堪能して頂きたくシナリオ化したものである。全マップを自分色に埋め尽くすプレイも、ゲームプレイの終着点として非常に分かりやすいが、これが本当に戦国の表現なのかという疑問がずっとあり、その答えのひとつとして制作に臨んだ。
信長は上洛して義昭を将軍に就ける事からスタートする。そして信長勢力が成長していく過程で、周辺勢力が信長包囲網を作り出し、義昭さえも裏切ってしまう。そうした中、裏切った義昭を支え続けるのか、追放してしまうのかを選択する事となる。言わば、室町時代の終焉を再現したシナリオと言えるだろう。
■シナリオ11「信長包囲網」
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■マップの切り方と勢力関係について
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