デジタルアプリ版デザインコンセプト
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2013年11月29日、無事にWindows版の信玄上洛を発売いたしました。これまで発売が遅れました事、まことに申し訳ごさいません。
当初、アナログとデジタルの融合として始まったサイフォンボードゲームの企画も、Windows版の展開となってからは、「パソコンで作成しタブレットでも遊ぶ」というコンセプトを追加しました。Windowsパソコンの最もたる利点は何か、というところから模索し、それは作業性の高さであるという結論から、シナリオエディタが登場します。こうしてユーザーが自分で作ったシナリオは、パソコンのみならずタブレットでも遊べるという、新しいプレイスタイルをご提供する企画へ進む事ができました。
アナログ版の登場から約二年の期間が過ぎてしまい、この間、パソコンの能力もパソコンソフトの市場も、ずいぶんと変わりました。能力は著しく向上したものの、普及の理由とはならず、市場は縮小の一途を辿っています。
今般、ムックとエディタを同時発売としましたが、市場が急速に縮小していく中、あまり悠長な事は言っていられないという思いから、強行したスケジュールで制作に挑みました。今後は、発表しているシナリオ追加キャンペーンや、スマホとの連携を強化していきたいと思います。
プロジェクトノート(2013/12/15追記)
※今般、Android/iOS/Windowsが揃った事でデザインコンセプトを追記します。尚、こちらの内容は、今後、別ページへ移動する場合がございます。
ソリティアシステムの搭載
信玄上洛でソリティアシステムを採用した理由は、デジタルへの移植の可能性からである。登場させた当時、海外ではタイトル数がそろっていたものの、国内タイトルのソリティアゲームはあまり聞かなかった。だが、それまでに全く無かった訳ではなく、エポックから出ていた『日本機動部隊』には、ソロプレイシナリオが収録されており、ソリティアという名前は使われていなかったものの、ソロプレイが可能なシステムは当時から存在していたのである。
何故、国内でソリティアシステムが流行らなかったかと言うと、単にソロプレイ可能な対戦型システムで事足りるからであろう。わざわざ敵の動きに法則を与え、その通りに動かす事の魅力は見えてこない。だがデジタル移植では、この法則化されたシステムは魅力であった。
ここでふたつの問題が生じる。ひとつはアナログゲームとして、遊びやすいシステムを採用するのか、若しくは、デジタル移植に耐えられる複雑なシステムを採用するか、という問題である。そしてもうひとつは、アナログとデジタルでは各々別設計をするか、という問題である。今回のサイフォンボードゲームの様な、アナログとデジタルの融合などと言う、奇麗事で始める企画が頓挫する場合、こうした問題を先送りし、中途半端な答えで乗り切ろうとする場合であろう。
そこで出した答えは『アナログとデジタルでは同じシステムを採用する』へ傾向させた。別々のものを作るのであれば、わざわざアナログで作る必要はなく、アナログで作ったものをデジタル移植するのであれば、極力、忠実に再現すべきであるという考えを持っていたからだ。これは昔、アナログからデシタルへ移植されたり、デジタル間でも移植される場合に、機種ごとに機能が制限されている場合に、非常に残念な思いをした経験が大きかった。
もちろん、こうした移植に関する考えは個々人違うと思う。この仕事を始めてから耳にしたのは、海外では移植に関して極力忠実に再現する事が優先されるが、日本ではそうした傾向に疑問を持つ開発者が多いという事である。どちらが正しいと言う訳ではないが、せっかく自分でやるのであれば、好きな方でやり抜きたいという事で、前記の選択に至った。
そう決まった段階で、問題は次のステップへ進む。アナログで遊びやすいシステムなのか、デジタル移植に耐えるシステムなのかである。要は、合戦システムひとつを取ると、ひとつのエリアの戦闘解決を、互いの戦力比率で判定するのか、ユニットごとに判定を用いるのか、という事である。前者だとサイコロを一回ふれば解決するし、後者ではユニットの数だけ振る必要がある。アナログでプレイ時間を縮める為には、当然ながら前者の選択が一般的である。だがこれを後者で用いると、あっという間に処理が終わるので、エフェクトなどの処理を多用し、場を持たせる必要性が生じる。
一般的なストラテジーゲームを目指すのであれば、それでも構わないが、今回は歴史シミュレーションゲームを目指していた。そこでアナログでは手間が掛かるものの、戦闘解決はユニットごととし、ターンのシークエンスも若干複雑にした。これは、現在アナログゲームを購入するのは、20~30年続けているベテランゲーマーであろうから大丈夫だろう、という甘えも交えての判断であった。
歴史シミュレーションとして設計
デジタルではウォーゲームのジャンルが、ストラテジーとシミュレーションに分類される。ストラテジーはモチーフを用いた戦争ゲーム。シミュレーションとは、何らかの再現性を重視したものである。だが国内ではこの定義が曖昧で、歴史シミュレーションと謳われていても、モチーフを用いた表現に留まり、その再現性は低いものが多い。およそ、それらはストラテジーへ分類されるものである。昔遊んでいたゲームも、この事が原因で遠のいていった。歴史の再現性が低い事から、感情移入が途絶えるのである。
そこで今回は、当時の武士社会の投影と、時間軸の表現について注力する事とした。まず、近世か近代なのか良く分からないシステムから脱却し、中世の武士団社会をシステム化。次いで、歴史の時間軸に見合った成長速度に収まる様、調整を続けた。ユーザーが行う事は、そうした世界の中で、勢力の進む方向を決定させる事とした。むかしNHKの番組であった『歴史への招待』や『その時歴史が動いた』などのキーワードから生じる感覚を、今回は特に重要視したのである。
タイトルを信玄上洛に定めたのも、中世の武士団を再現したシステムであるからである。これが信長であるとか、秀吉、家康を採用すると、中世と近世が混ざり合い、表現が曖昧になる可能性があったので、躊躇せずに信玄を採用できた。関ヶ原を再現するゲームを制作する時は、また別のシステムを構築したい。
基本設計として、戦力は在地の武士団、大名は勢力のボス、武将はその目代であり、合戦時は部隊の大将となる。戦力となる要素は、在地武士団のやる気を表現し、大名や武将の能力がこれに加算される。やる気がなくなると戦力が減り、やる気が消滅すると、ユニットも消滅するという事にした。つまり、合戦でユニットが消滅しても、その戦力である兵が死亡するのではなく、四散するのである。中世の合戦時における死傷率と、軍の崩壊を考えると、こうした設定が妥当であると考えた。消滅したユニットは、大名に対する信用を失っているので、再び信用を得ると帰属する。
ここで帰属という名称を用いたが、デジタル版からの変更である。アナログ版では生産ターン・生産・補充という名称であったので、これを軍備ターン・帰属・回復へ変更した。やる事は同じなのだが、名称から生じるイメージを重要視しての変更である。この時代の大名は、絶対君主でも王でもない。大きな名主である。既存の権威の下に権限を振るう存在である。そこで、帰属という言葉が表現している様に、在地の武士団と大名勢力との関係の基本は「信用」とした。武士団は自らの存在を認めて保障していくる存在に対し帰属し、帰属された大名が戦力として用いる。戦いに負けると言う事は、その信用度が落ちるので戦意が下がり、消滅したら帰属から離れるという構図である。
あとは、時間軸との調整であるが、当初はアナログ版でバランスを取っていたので、結構な時間がかかった。一年後、Android版でテストすると、10倍以上の速さでテストが出来て感動したものである。ここでは計算式のミスもあって、いろんな発見が出来た。そのひとつが、敵味方、同じレート、同じ計算式で展開する限り時間軸が変わるだけで、バランスは大きく変わらないという点である。今後、別のゲームを設計する時の材料となるだろう。
ともあれ、基本システムが出来ていたので、1年を何ターンにするかという事で、成長スピードを調整した。思考錯誤の結果、1年を5ターンか6ターンかで迷ったが、ちょうど二ヶ月に相等する6ターンという事で確定させた。これもAndroid版ができてから、追加のシナリオである長島決戦(長篠合戦からキャンペーン化)をテスト中、意外とそのまま使えて、Windows版の追加シナリオを作成する時も、タイムスケールはそのまま使って違和感がなかった。そこからエディタの登場へ踏みきる事ができたのである。
エディタの登場とシナリオ追加キャンペーン
これまでも出したい気持ちはあったものの、コスト面などと折り合いがつかず、ずっと断念してきた。一部のユーザーからは、サポートはいらないから出して欲しいと言われるものの、出すとサポート依頼は発生する。コスト以外の面でも問題は多かった。
しかしながら、携帯で動くレベルのアプリをPCゲームへ移植となると、どうしてもあっけないものに見えてしまう。画面の大きさも違いすぎた。そこで、PCならではの取り得が何所にあるかと考え、それは作業性の高さであると行き着き、だったらエディタを出そうという答えに至った。
せっかくなので、PCで作ったデータはAndroidやiOSでも使える様にし、様々なイベントを組んだり、複雑な勝利条件を設定可能にした。そこから次に繋がるものが出来るだろうという判断である。その結果、シナリオ作りが容易になり、発売直後から追加シナリオの作成も可能となった。
これまでもシナリオ追加はやってきたのの、今回のキャンペーンが一番充実している。エディタを提供し、そのエディタで作られたシナリオだからである。ゲームの中に収録しているシナリオは、エディタが完成する前に組み上げていたものばかりなので、エディタの機能を十分に使いきっていない。追加キャンペーンで、配付が決まったシナリオはこの点が異なり、発売したエディタの機能からシナリオの内容を考え、中世最期の舞台である信長包囲網を再現する事ができた。
ムックの登場
空母決戦の時は、発売二年後にムックを登場させた。こちらは本体の売れた本数も、幾らかあったので、ムックを作れる土壌があった。ただ、このムックを作ってから再び売上が伸びたし、デジタルゲームに興味がなかった方々にも受け入れられた。ゲームと歴史を繋ぐ書籍としての企画が、そうした結果を残したのかもしれない。
この結果があったので、今般、発売前のゲームではあるものの、ムックを制作して同時発売に漕ぎ着けた。アナログ版の発売日より、鈴木銀一郎先生にお声を掛けて頂いていたので、こごては是非、銀一郎先生のソリティア観をお聞きしたいと思い、インタビューをお願いした。
ソリティアに関しては冒頭で申し上げた通り、自身『日本機動部隊』のソロプレイシナリオから受けた影響が大きく、是が非でもお願いしたいと思っていた項目である。インタビュアーには、Si-phonGameClubVol.1の時と同様、徳岡正肇氏にお願いした。
ムックの主文は、武士の歴史についてである。これまで「中世」と「武士団」と言うふたつの言葉を多用いているものの、その両方が分かり難い概念である。理由は、多くのゲームでこれらの存在は蔑ろにされており、現代人の感覚に近づける為なのか、近世や近代と置き換わっている事が多い。そうした概念をゲームで表現している以上、ムックで説明しておかなければならないと判断した。
雑誌などで取り上げられ難い内容でもあり、こういう時にやっておかないと語る場はないし、次に繋がらないと感じていたからである。次回、別の時代を取り上げる時に、今回やってきた事は必ず役に立つと思うので後悔はしていない。またムックで取り残した事は、ゲーム同梱の小冊子で補間した。一般に、戦国という時代は独立した時代とのイメージが強いが、やはり鎌倉末期から室町までの流れが、大きく影響している点を補填説明した冊子である。
その他ゲーム内の構造について
信玄上洛には外交コマンドがない。これはあえて外した機能である。そもそも外交とは、武将の能力値と確率で決まるのかという思いは、ずっと昔から持っていた。利害関係の一致から同盟は為されるし、その利害関係が崩れると、当然ながら同盟関係も崩れる。ならば、外交などというコマンドは意味がなく、ただのクリックする場を作っているだけの存在である。そうした機能がゲームには必要なのかも知れないが、今回は意味がないので外す事にした。よって、外交関係はイベントでのみ変化させている。
外交コマンドが無いからという訳ではないが、信玄上洛の勢力間の関係は「同盟」と「対立」の二種類である。よくある「中立」という関係は無い。そもそも中立とはどうした関係なのかが、よく理解できない。関係があるとすれば、攻める事が「可能」か「不可能」かの関係でよく、勢力の状態として「臣従」と「合戦中」の状態を構造化した。臣従は力の上下関係を表し、合戦中は交戦状態にあるかの表現である。
この事によって、例えばシナリオ「上洛でこじゃる」の今川義元は、足利幕府側の勢力として、六角義賢など幕府側の勢力と同盟関係にあるとし、同盟勢力を勝手に攻める事ができない状態を作り出す事にした。攻める事が可能な勢力は対立関係でよく、交戦中かそうで無い状態なのかの状態が判別できれば良い訳だ。それを考えると、中立とは何なのかが更によくわからない。
大名については、勢力のボスである事は先にあげている。だが、勢力に必ず大名がいるかというと、そうではない勢力も作り出した。歴史で例を挙げるなら、能登の状態がそうであったが、畠山という守護大名はいるものの、実権は別の者達が握っていた。こうした地域は実に多い。ならば、大名なしで武将のみの勢力があっても良いではないか、という事で武将のみの勢力が発生する事も想定して構造化している。無理やり勢力のボスを作り上げないシステムだ。忠誠度というパラメーターがあるシステムに嫌気が差していた事から、こうした状態に耐える構造とした。
反省点など
アナログ版では手順を急ぐあまり、入稿直前にデータを失い、急ぎ作り直したものの、誤植を晒す事となった。この対応につていは、マニュアルなどを作り直し、購入ユーザーの元へお届けする形を取られて頂いた。ご迷惑をかけてしまい、大変申し訳無いという気持ちからの対応であったが、そもそもがデータの管理方法に問題があった為、現在では対策を取って管理方法を改めている。
デジタル版では、更に多くの反省点が出てきた。Android/iOS/Windowsという三つのプラットホームで展開するとしたものの、それぞれのプラットホームの問題を甘く見ていて、予想以上の時間がかかってしまった事である。認識の甘さから出た問題であり、プログラマの負担も大きくしてしまった。
Androidでは、言われていた事ではあったものの機種依存が酷く、表示周りの処理に時間が掛かった。また発表時と発売時でOSの状態が異なり、レガシー化されたOSの対応を打ち出していた為に、多大な時間を浪費する事態に陥った。発売後、そのOSのユーザーの数を確認し、途中で打ち切る事としたのはこの為である。それでもWindowsと比べると収穫は大きかった。
iOS版では、不慣れではあった事も理由ではあるが、意外と設計思想が古いOSだと行き着いた。やはり、音楽や映像が見れる事を前提としたOSなのか、ゲーム作りでは苦労が多い移植作業となる。確かに機種依存の問題は少ないものの、地味な苦労が多く、予想以上の工数を食らう事となった。
Windows版では、エディタの開発が同時進行となり、プログラマの負担が大きくなってしまったが、やはり従来からの機種依存の問題は大きかった。今回、巷で噂のUnity3DというAPIを用いたが、特にXPの機種での表示に苦しんだ。そしてマスター直前に、UnityがまさかのXPサポート中止を行い、急遽、旧バージョンに移し変える事となった。ただ、本格的に触れた事で、今後の展開では役に立つノウハウを得たと感じている。
そしてエディタ。途中でコマンドを追加していく開発体制を取った為、発売日が2ヶ月遅れた点は大いに反省している。またデータのやり取りを行うソフトの為、ビジネスソフトなどで使われている開発ツールを用いる事となり、Unity3Dを用いた本体プログラムとの操作性の違いが出た。但し、この事で安定した挙動を確保できる事となった。今後は、エディタを制作したノウハウを活かし、次の展開へ繋げていきたい。
最後にムックでは、スケジュール管理に課題を残した。可能な限りの努力と知恵で制作したものの、ゲームのデバッグとシナリオの調整、特にシナリオは5本の調整があり、内2本は全く新規のシナリオであったし、1本もほぼ作り変えのシナリオである。これが終わらないと、テキストもまともに起こせない。入稿までのラスト10日は、不眠不休の体制で乗り切ったものの、続くマニュアル作り等の作業工程を考えると、あまり多用できるスケジュールでは無い事が理解できた。次回までに編集者を育成し、作業ラインの拡大を図りたい。
最後に
今般、足掛け2年の歳月をかけたプロジェクトとして、アナログゲームとデジタルゲームの融合を果たし、Adroid/iOS/Windowsという三つのプラットホームで展開してきた。最初にアナログゲームを作ると言った時は、多くの方から疑問の声を頂いたものの、大手ポータルサイトの4Gamer.netでも取り上げて頂き、新参メーカーながらそこそこの売上を達成できた。4Gamer.netでも、今ではアナログゲームのタブが出来ているし、AndroidやiOSゲームのタブも存在する様になった。それらを考えると、方向性は決して間違っていたと信じている。
制作途中、デジタルなんだからアナログとは仕様を変えないと駄目たよ、的なアドバイスも多くの方から頂いた。だがそこに関しては「否」と言い続けてきた。それであるなら、アナログをやる必要はなかったし、双方を近づける事で見えてくる事があると信じていたからである。これまでにも「デジタルだから」という事で押し込んだ仕様はあったので、今回は違う展開、他所がやれない展開を目指したのである。
ただ、デジタル移植に関しては予想以上の工数がかかり、途中で開始した二作目『太平洋決戦』の移植を中断せざるを得ない状況となってしまった。そうした中でも、ずっと周囲から応援していただき、特にアナログのゲーム会や販売会では、多くの方に声をかけて頂いた。こうした環境があったので、二年かかったものの、何とかプロジェクトを継続する事ができたと思う。
アナログで作りデジタルへ移植。この14文字の表現は簡単であり、ゲームデザインの費用をアナログで吸収でき、そこからデジタルへの移植が始まる事で、リスクが軽減できる。そう書くと、素晴らしい事ばかりの企画に見える。そうした思いからか、多くの方から同様の意見を頂き、賞賛もされたが続く方が現れないのは、実はたいした企画ではないからだろう。
冒頭で申し上げた通り、アナログとデジタルでは遊び方が異なる点が、一番のネックである。特にデザインの根幹である「プレイ思想」が異なる点が大きい。アナログでは対戦相手がいる事が前提なので、コミュニケーションツールとしてのデザイン手法が重要である。だがデジタルでは、相手を「捻り潰す表現を爽快感に摩り替える手法」が重要視される。これはシミュレーションに限った事ではない。
パズルゲームで弾け飛ばす表現はこの一貫であり、RPGでも同様である。子供が集団でボスキャラをリンチする表現は、ピーターパンや桃太郎の世界観と変わらない。そうした爽快感が無いと、興味を増幅できないのである。更に、他人の引き出しからコインを盗むであるとか、強そうに見せかけたキャラからカツアゲするとかの表現は、モチベーションを増幅させ維持する為の仕掛けである。そう考えると、シミュレーションで敵を掃討しマップを自分色に塗りたてる表現は、ゲームの作り方として間違ってはいない。むしろ王道の作り方である。
だが今回の『信玄上洛』では、そこから踏み出して制作した。ムック『ゲーム視点から見た戦国の武士団』も同様である。「武士がサラリーマン化する以前・・・」に始まるコピーそのものが、売り方として間違っている。その意味を知っていないと表見が沸かないからである。「武士団」と「サラリーマン化した武士」の違いが分かっていないと、そこからが続かない。また「中世」より「戦国」が馴染みのあるキーワードであるし、そもそも「武士団」なんて分かり難いを出す事も、一般的な展開方法ではない。
それでも今回、こうした展開を続けてきたのは、これまでやり残してきた事をやり遂げたかったからである。信玄上洛は戦国シミュレーションを目指したので、こうした展開とした。だが今後、戦国ストラテジーを目指す時は、また異なる展開となるだろう。
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