ロンメル1942-Refrain at the battle for North Africa-|サイフォンが放つ一人プレイ型タブレットウォーゲーム
ロンメル1942-Refrain at the battle for North Africa- ソロアプ‐solo app‐

ロンメル1942‐Refrain at the battle for North Africa‐ コラム


2020/03/13
Progress Note

 延期続きの制作期間を経て、なんとか世に出した「ロンメル1942」では、多くの試みを実装できた。また多くの改修を経て、制作側も扱いやすいよりコンパクトなゲームエンジンへ進化していった。

演出面の多様化と今後の展開

 演出面の多様化では、従来PNGアニメとしていた箇所を大幅に軽量化できた事で、プレイ前の導入部分の情報作りから容量不足という悩みが消えた。またプログラムが整理できた事が工数削減に繋がり、より短い工数でモノ作りができる様になった。
 このふたつはデジタルシミュレーションを作る上で多くの可能性をもたらし、今更ながらもこれまで出遅れていた箇所にようやく手が届くようになったと言える。

デジタルシミュレーションというジャンルの問題点

 シミュレーションというデジタルゲームのジャンルは、作り手に人気がないジャンルだと感じる。何故なら手間がかかる割にと言うか、手間がかかるのでバグが出やすく、作っていく過程においても修正が多いからだと言える。
 それでも作ったものが売れている間はどうにかなっていたが、売り場すら無くなっていくと作り手もいなくなり、育成も難しくなっていく。それを中黒氏が提供してくれた「こまあぷ」という基本ルールは、一定の問題改善に繋がったので感謝の限りもない。ここに手を入れようとした「信玄上洛」でさえ規模が大きすぎたのは、大きな反省点であった。

短い期間で作れるメリット

 今般「ロンメル1942」を制作した上で、結構な時間を費やしたがその恩恵は大きい。ちなみに次回作のモックアップがわずか一週間もかからず終わったのである。これは従来、マップのデータ化をしていた時間だけで、とりあえず動くものが組みあがった計算だ。しかも今回はかなりのルール変更を行った上でである。
 これが何をもたらすのかと言うと、例えばゲームとしては面白いモチーフであるものの、日本ではまず売れないジャンルだからと、従来手を付けられなかったものに手が届く様になる。例えば戦国と二次大戦ばかりで飽きていたユーザーへ、新しいジャンルを開拓できる土壌ができるのである。

今後の展開としての願望

 今回の「ロンメル1942」では「ガザラの戦い」の延長として、北アフリカのキャンペーンシステムのアプリを制作した。既に発表している様に「ナポレオンシリーズ」としての「アウステルリッツの戦い」は、このポジションにあると言える。
 またさすがにナポレオンだけでは開拓できないので、他のシリーズをふたつくらい準備している。これらを組み合わせてタイトル数を増やしていきたい。なおその延長でスタッフの育成も図りたいと考えている。これらとは別に、量産化が図れる傍ら、マップ規模の大きいシリーズ展開や、新空母決戦と言うべき、新たな空母戦エンジンも平行して構築したいところである。

2020/02/17
Developer Note

 当初2019年5月の配信予定が延期となった。その理由は、Android版のサイズが大きくなりすぎた事と、その後のリサイズ作業中に配信サイトであるGooglePlayの配信基準が変更し、更なるリサイズが求められた事にある。

計量失敗から軽量化への道

 こまあぷの始まりは、2014年当時まだ一年生であった新人でチームを組んだ事に発する。その為ある程度、容量の軽量化は無視し、豊富に画材を持つ構造体で始まった。次第に通常のゲーム作りに組み替えていったものの、画像データで持つ箇所は多く残っており、これが今回引っ掛かった訳である。
 AndroidのAPKの場合、100MBまでの制限枠(2014年当初は50MB)がある。これを超えるデータは、どこかのFTPなりからダウンロードさせる必要がある。この制限枠が何時からか、50MBから100MBに倍増された事から調子に乗って実装を続けていたら、あっと言う間に100MBを超えていたのである。
 そこで容量を軽減する作業を行った。だがそれをやり遂げた時、再度の軽量作業を余儀なくされる。なんとGooglePlay側が、32bitデータと64Bitデータを共存させての100MBへ変更したのである。ここまで来ると、さすがに小手先の軽量作業だけでは追いつかず、全てを作り直しとなってしまう。
 当初の予定から「こまあぷver2.0」の更新を挟んだとは言え、10ヶ月ほどの期間を必要としたのはこれが理由である。ただここでの苦労は決して無駄ではなく、いろいろな副産物としてのライブラリをもたらした。それを流用する事で更なる演出が可能となったり、容量の軽減もできるようになったからだ。


2019/05/30
Designers Note

 今回の基本ルールとしては「総統指令」に基づき、もうひとつの課題として、こまあぷ最初のタイトルとなった「ガザラの戦い」のセットアップとの接続を意識する事とした。

ゲームデザインの方向性

 先に挙げたように基本ルールは「総統指令」の手番側2行動、戦闘選択ユニットと隣接するユニットが戦闘に強制参加するシステムを用いる事とした。各マップで異なるルールも検討したものの、それでは遊びにくいと判断して統一する事にした。ここでセットアップを共有する「ガザラシナリオ」のバランスが、一体どうなるかという問題が出る。

総統指令システムの組み込み

 元は戦略級のタイトルで用いたシステムであるものの、これは桶狭間と共有できるシステムとして設計していた為、作戦級でも転用できるとして実装した。また「クルセイダーシナリオ」においては、続々と登場するイギリス軍の増援部隊を表現できた事から、意外とあっさりと組み込みが終わった。
 問題があったのは、元が都市を制圧するAI行動であったので動きが悪く、都市にポイントを与える事と、ヘクスに中継地点を設定する事で、AIの基本ロジックも共有する事ができた。これを「総統指令ver2.0」へフィードバックさせている。

ガザラシナリオとの接続

 こまあぷ「ガザラの戦い」は国際通信社の中黒靖氏が、チラシゲームとして最初にゲームデザインされている。これを中黒氏のサイトで公開している「競技用ルール」を用いてアプリ化したものである。よって元の「チラシ版ルール」というものが存在しており、このルールでは都市の制圧が明記されていたので、こちらのルールを採用する事でスタートを切った。
 ただ早く終わるという問題もあって、総統指令型のルールに一本化した後、チラシ版の都市ルールと、ガザラの戦いのエキスパートルールをミックスさせてバランスを取る事とした。もちろん「ガザラシナリオ」を一新するともっと早かったのかもしれないが、どうしても今回は「(こまあぷ版)ガザラの戦い」のセットアップを流用したかった。

マップスケールの統一

ロンメル1942‐Refrain at the battle for North Africa‐

 マップスケールにおいても、「(こまあぷ版)ガザラの戦い」のスケールを踏襲する事となった。エルアラメインでは少し困ったが、クルセイダーが巧くまとまったので、ゲームのバランス調整で合わせる手法を取る事にした。こうした問題はこれからもしばしば発生すると思われるので、今回克服する事は次にもつながるはずという思いからである。
 結果として、エルアラメインのマップは東はエルハマン迄を広く切り、ifシナリオ(クルセイダーシナリオでドイツが勝利した場合)との共有性を図る事で対処する事とした。史実ルートとifルートではセットアップが異なる。これでひとつのマップを、ふたつの異なる遊び方ができる仕様となった。マップデータは画像で持っている為、ここでのサイズの縮小は、作る側としてはかなり大きな収穫である。

ロンメル1942‐Refrain at the battle for North Africa‐

キャンペーンシステム

 今回のシステムの肝がここにある。ここを複雑にすると工数がかさむ上に、バグも多く発生するからである。自分の場合、より短期間で、より正確に、またより分かり易くする為に、ポイントやその集計などに素数や虚数を用いて、判別するフラグと共有する設計が多いのだが、今回はより少ない設定で済ませる事とした。
 またこの機能を流用して、キャンペーンシナリオ時のプレイビュー下に表示されるテキストは、フラグを拾ってきてテキストを作成する機能を実装する事にした。すごく簡易的なソリティアAIの文章作成機能である。


2019/05/21
Project Note

 ソロアプ第三弾は「ロンメル1942‐Refrain at the battle for North Africa‐」というタイトル名とした。特にサブタイに関しては、ある程度早い段階でちょっと長めのものにしようと考えていて、いくつかの候補の中からまとめる形を取った。これは今般キャンペーン形式を採用する事と、従来とは違なるシステムを取り入れる事もあり、イメージチェンジを図る目的もあった。
 もうひとつ、これまで「こまあぷ」の基幹システムを用いたアプリを数タイトル出してきて困っている事に、ソーシャルの世界では一定期間内に改修を行う必然性が生じる問題がある。これは配信側の都合であったり、OSの進化に伴うものであったりと理由は様々であるが、タイトル数が増えると改修期間も長くなるという問題が生じてしまう。よって、ルールは微妙に違っても内部プログラムは同じもので統一する必要性が出てくる。これに対応させる事も目的のひとつとした。

こまあふシリーズのエディタ化

 こまあぷシリーズは、手番システムを基本としたルール体系に基づいて各タイトルが製品化されている。これを共通システムにする事は当初からの目標であった。これに中々手が付けられずにいたので、今回手を付ける事とした。
 エディタ化に関しては、まずマップから手をつける事とした。各タイトルのマップ作成のデータ化に1週間ほどかかっていた事から、これをグラフィック工数を除き1時間で終わらせる事を目標とした。また別シリーズにて、マップのエリアを800ヘクスほどに拡張したシリーズも計画している事から、従来の手法では手に負えなくなる事が予想された。よってこの問題に対処する事は急務であったからだ。
 次にプログラムの整理である。データの部分、ロジックの部分、関数の部分、この三つに奇麗に整理しなければ、エディタ化は進まない。逆に言えば、この三つが整理できるとタイトルを増やしていく事も容易となる。結果これらの問題に対処した「こまあぷVre2.0」として、全タイトルを再リリースする事とした。

ロンメル視点の北アフリカ戦

 今回のタイトルでは、キャンペーン制度を用いてシナリオを連結する事を目標とした。ここで「百年戦争」「薔薇戦争」の反省として、両陣営でキャンペーンを行うよりもドイツ軍でのキャンペーンに特化した方が、面白くできると判断する運びとなる。
 これは「空母決戦」時の最初の会議でも出た問題であったが、上記2タイトルでは規模が小さい事もあり、両陣営で試みたものの、特に3ステージ制の「薔薇戦争」ではバランス調整が難しく、結局はエクストラモードを経てバランスを調整する事となった。よって今回はキャンペーンシナリオにおいてドイツ軍視点に集中し、両軍で遊べるものは単体シナリオで提供する形を取る事とした。ソロアプとして登場するのはこれが理由である。