SGCレポート
御旗楯無と毘沙門天への誓い
■シミュレーションゲームとは
歴史の再現と可能性への挑戦。それをゲーム化したジャンルが存在する。そう、シミュレーションゲームだ。
■ファンの心理とは
まず自らを含め、シミュレーションゲームを好む方々というのは、きっと世間一般とは変わった性格の持ち主なのだろう。 小説やコミックでは物足りない。専門のムックなどでも同様。そして映画化されたものを見ると嘆く。 何故嘆くのかというと、そこにあるバックボーンの知識が邪魔をするからだ。 「どうしてココで男女間の無理な場を作るのだ!」「いやいや、そういう表現方法は絶対ないだろう」などといった感情である。しかしながら、我々が嘆かないような映画ができたとして、それはきっと、世間一般にウケない作品となるだろう。 制作側にしても、多分に、そういうジレンマとの戦いがあるのだ。
■戦国時代への思い
一言に戦国への思いと言っても、人それぞれである。
歴史の探求から入ってきた者、講談の世界から入ってきた者、ゲームや映画などの現代作品から入ってきた者。
それぞれの価値観、歴史観は違うからだ。
現在、発売中の『戦ノ国』であるが、これはゲームである。全ての方々の戦国観を満たせる訳ではない。
よって残念ではあるが、無敵の騎馬隊が駆け回ったり、忍者が暗躍するような世界観は持ち合わせていない。
だが、シミュレーションゲームの面白い所で、自ら描く世界観を想像しながら楽しむ事はできるのである。
■御旗縦無ご照覧あれ
まず戦国大名としても有名な武田信玄でプレイしてみる。 ゲームの性質上、実は、南北に分かれた信濃を攻め取るより、武蔵・上野へ進出した方がお得である。
とにかく全国を統一したい、というのであれば、こういうお得なプレイで進めるべきだろう。 特に武蔵を押さえる事は、北条を封じ込める事にも繋がる。史実同様に信濃へ出て、上杉軍と消耗戦を行う事は得策ではない。
しかし武田で始めると不思議なもので、信濃へ出て行きたい気持ちに駆られる。 ドラマなどでビジュアル化された ─楯無の前で結束する─ シーンの影響なのだろうか。 それとも、先祖が近い甲斐源氏と信濃源氏を取りまとめ、この二つの源氏の長者と位置づけたい、との思いからだろうか。 何にしろゲーム中、この地を押さえていると、史実でも武田軍団を構成していた人物達の多くが、配下に加わる事となる。
武田でプレイするならば、不利とはわかっていても、南北の信濃を押さえてからがゲームスタートといった所であろう。 この状態より、越後へ出るか、関東へ出るか、東海や美濃へ出るか、その戦略を練るところがまた楽しいのである。 御旗楯無ご照覧あれ。
直轄国が増えると内政効果が落ちるシステムなので序盤は石高が大きい国を取る方がお得である (左:甲斐1国 右:甲斐信濃3国) |
|
開始時の信濃南は信玄と飯富兄弟の3ユニットでも攻略可能 | 真田幸隆(幸村の祖父)が配下に加わる 甲斐・信濃を平定してから周りの戦況を見つめてみる事としよう |
■思い向くままにプレイ
さてシミュレーションゲームは、歴史に対し、自身の思いを叩きつける事ができる所が、その面白さの一つである。何も手堅いプレイだけが型ではなく、そしてストーリーは作れるのだ。
■関東管領職への思い入れ
戦国大名として名高い上杉謙信は、関東管領職への執着が強い大名であった。 恐らく、それは自己顕示欲からではないだろう。
謙信での手堅いプレイを考えた時、若しかしたら奥州を早期に統一し、攻められる事のない「生産国」を作るのが、 ゲーム的に賢いと言える。
だが、こうした賢いプレイが謙信らしいのであろうか。などという疑問を抑え、只ひたすら富国強兵。 これにも疑問はあるが、「上洛の準備である」と勝手に定義する事にした。
そうして、越中・越前へ進出し「越」統一のもと、その兵力を率い、京へ上る上洛プランが浮かぶ。 まさに上洛前の「木曽義仲」の気分である。
実は、こういう構想を練っていく時こそが、シミュレーションゲームの盛り上がり所だと感じている。
所が、まだ越中へも進出していないのに、同盟中の山内上杉家が滅亡してしまう。予定は未定。 現実の社会でもよくある事だ。これより切りかえす人生がまた楽し、そう思う事にしている。
上洛の準備をしていたのであるが、関東の動きを見過ごす訳には行かない。
ああ、謙信ってこんな状態だったのか、などと妄想も育む。
史実に近い形になってしまったが、京への上洛は諦めて関東を平定し、関東管領職をいただき、
鶴岡八幡宮(注)へ参詣する事としよう。いざ鎌倉へ。
強力な上杉軍ではあるが、流石にこの時期、関東八州の維持は難しい。 維持しようというプレイならまた別なのだが、今回は鶴岡八幡宮への参詣を優先し、謙信の体験を共感したいのだ。
戦ノ国のコンピューター側は、戦闘で不利だと悟ると、ササっと退却してしまう。 国力と軍事力が高い上杉側から見ると、勝手に退却してくれる事は「財」で国が買えるとも受け取れるが、 このシステムを支えているのは、あくまで「財」である事を忘れてはならない。(財無しでは合戦もできない)
開始時は山内上杉家と同盟関係 暫らくは富国強兵を行い時を待つ |
事態は急転直下 成り上がり者の北条勢が北上中 山内上杉家が滅ぼされてしまう |
快進撃中の謙信軍団 だが財にシビアな戦ノ国では無駄な戦は避けたい |
まさに戦場敵無しの上杉軍 関東諸将もなびいてくる事だろう |
■この願い叶わくば
見事、北条を撃破し伊豆までやってきた謙信公であるが、関東管領職を貰うにはまだ早いようだ。
活躍が認めて貰えないのであろうか。。ここはやはり京へ上洛し、自ら嘆願するしかない。気分はそう「竹崎李長」である。
毘沙門天に誓いを立て、いざ上洛。
我が活躍が足りないからか
官吏コマンドに関東管領職がまだ出てこない
(注)ゲームの中で鶴岡八幡宮は出てきません。