アウステルリッツの戦い-The Battle of Austerlitz-|サイフォン&コマンドマガジンが放つタブレットウォーゲーム
アウステルリッツの戦い-The Battle of Austerlitz- こまあぷ‐kama app‐

アウステルリッツの戦い-The Battle of Austerlitz- コラム

2020/03/30
Progress Note

 こまあぷ流ナポレオニックルールの成立で、取り急ぎナポレオンが関係する会戦のアプリ化に目途が立った。加えてそのルールを用いるか改修して、他の時代のアプリ化を実現する事も可能となった。

フリーセットアップの可能性を求める

 直前の配信となった「ロンメル1942」及び今回の制作の過程で、これまで実現できていなかった様々な機能を実装する事ができた。そしてより早く実装する土壌を形成する事ができた。残しているのが完全フリーセットアップの機能である。
 この件では「ロンメル1942」にて、ifシナリオと史実シナリオを同じマップで展開するものの、登場ポイントには一定の設定を施した。今回のifシナリオについても同様(ver1.0.0.0現在)である。目標は防御側がフリーセットアップで布陣した時に、敵がプレイヤーの陣形に合わせて布陣できる事である。これに対し、今回も少しだけではあるが試みを仕込んでみた。次回作では何とかモノにしたいところである。

古代戦への挑戦

 これはまだ実現していない機能であるが、古代戦は両翼を崩しつつ、中央の本隊を包囲殲滅する機会が多いので、そこまで対応したソリティアAIを構築したいと考えている。
 現在はと言うと、目標とするポイントや撃破しやすいユニットを攻略する行動はとれるものの、勝利条件にも設定されていない両翼を崩しつつ、本隊を取り囲むまでは行きついていない。もちろん敵本隊を攻撃する事を目標とするのは可能であるが、そのプロセスとして両翼を崩すまでは行きついていないのである。
 自分としては、近代戦より近世・中世の戦闘AIの方が難しく、それよりも古代戦AIの方が難しいと考えている。もしこれが実現したならば、ギリシア・ローマ時代のタイトルを予定したい。

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2020/03/13
Developer Note

 今回のアウステルリッツの戦いの制作は、こまあぷの中で最もスムーズに開発できたタイトルだと言える。多くの新要素が入った割にバグも少なく、バグが少ないのでより演出などの見直しも行えた。そのお陰で、次タイトルでの開発要素を研究できる余力も生まれた。

軍団システムと騎兵隊

 今回取り組んだ軍団システムは、第二次世界大戦においても流用する機能である為、割と早い時期から取り込みたいと考えていたルールであり、今回は戦闘が有利になる判定を行う事としている。
 また騎兵隊に関しては、高い機動力を与える代わりに混乱しやすく、また防御力を弱くしているのは、鉄砲隊に対して打たれ弱い事を表現している。

連係プレイを再現する軍団システム

 軍団システムを採用したのは、同一軍団を集中させるのか、伸びた戦線を維持する為に分割するのか、その判断をゲームの中に取り入れる事が最もな理由である。こうした判断材料があるからこその「シミュレーションゲーム」であるだろう。
 またその差を陣営ごとに与える事で、陣営ごとに特色を与える事が可能となる。効果的な運用が可能な軍隊は、相手に対して兵数が少なくとも「戦闘値」は高いものである。少なくとも戦いは兵数だけでは決しない、その事を表現するのに用いた。

突撃のタイミングを探る騎兵隊

 この時代の特徴たる兵科のひとつに「騎兵隊」がある。この部隊の突撃ひとつで戦局が変わったり、敵軍へとどめを刺すといった事が生じていたからだ。だが当然、失敗するとその逆の事も起き得るだろう。
 今般、強ZOCと言われるルールを採用した事で、一度戦闘に参加したユニットは途中で離脱する事が難しくなった。そこで騎兵隊に求められるのは、突撃するタイミングを誤らない事である。こうしたユニットである事から、戦闘時に有利な状況で負けると混乱しやすくしている。これも歩兵ユニットとの違いである。

戦局を左右する混乱と回復

 ナポレオンシリーズでは、ユニットの耐久性をアナログゲームで言うところのステップロスという概念ではなく、混乱と回復のルールで再現する事にした。戦闘に負けると混乱(二倍以上の差だと撃破)する。但し次の手番で回復できるとユニットとしての能力が回復するというルールである。
 まず戦闘のシステムを説明すると、ユニットを選択して戦闘行動をとる事ができる。そして先攻後攻の行動が終了すると、今度は未戦闘ユニットで敵と隣接している同士で戦闘が開始されるシステムを取った。これが「こまあぷ流ナポレオニックルール」の基幹ルールである。
 この基幹ルールのお陰で、混乱後の行動で回復を目指すのか、別の健全なユニットを戦闘に参加させる事で敵の撃破を確実にするのか、そうした戦局を左右する選択が可能となった。

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2020/03/06
Designers Note

 今回の基本ルールとしては「手番システム」の見直しとして、先攻後攻ルールを取り入れた。もうひとつ軍団システムとして、戦闘ルールに調整値を組み込む事にした。その他、援軍や混乱、兵科の違いなど、従来は各々異なっていた表現方法やルールを統一し、表記方法にも手を入れてみる事にした。

ゲームデザインの方向性

 先攻後攻ルールについては、互いに1手番ずつである場合、後攻が有利になる事が想定される為、先攻2手番、後攻1手番として調整してみた。イベント発生時にイレギュラーな処理が出る場合があったが、それはそれでイベントの内容に合わせて対応する事にしている。
 この辺りの調整に関しては一応のプログラム実装を待ち、その結果で調整を行っているが、今回は初期の実装が一週間で終わったので調整が楽に終わった。実装期間が短いという事は、それだけ多くの調整期間が取れるので、バランスを良くする事に注力できる。

演出や表現方法の方向性

 今般、初期の実装期間が縮まった事で、演出や表現方法の変更に時間をかける事が可能となった。まず行うのは、シルエットやユニット名称などの表示を切り替える事である。これはNATOマーカーが良いのかシルエットが良いのか、部隊名が良いのか将軍名が良いのか、日本語表記が良いのかアルファベット表記が良いのか、そうした悩みがなくなり、ユーザーの好みに合わせる事が可能となる等、お互いのメリットも大きい。
 また、従来のセリフ機能と連動したナラティブの形成や、戦闘時の効果に関する演出、ゲーム開始冒頭の情報作りなど、これまでやってきた要素を更に力を入れて改修する事にしている。これまで工数が圧迫され、手を付ける事が疎かになっていた箇所の見直しである。

グラフィックデザインの見直し

 こまあぷは総統指令の途中から、グラフィックの担当者が交代した。それでも最初の担当者のデザイン性を踏襲し、これまで続けてきたが、今回よりロゴから方向性を変える事とした。内部パーツの構造体が変更している事もあり、踏襲性については考えを改める事にしている。
 とはいえ、UIまわりに関しては大幅な変更は行わず、プレイ時に迷いが発生しないように心がける事としている。基本路線として情報の質を上げ、内容や本質は変えないという事である。

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2020/02/21
Project Note

 これまで7年程、こまあぷソロアプと続けてきて、そろそろ次のステップへ進む事を検討した。ひとつはシリーズを設けてルール体系を共有する事。もうひとつは従来の手番システムへ手をつけてみる事。このふたつを柱に、より様々なモチーフを題材とするアプリ化を図り、更に次のステップへ進む準備にしたいと考えた。
 その中で、これまで手をつけてこなかったナポレオンを取り扱う事を検討。いくつかの会戦をリストアップしてみて、最初に三帝会戦と呼ばれる1805年のアウステルリッツの戦いを扱う事とした。理由は複数あるものの、試作していたドイツ30年戦争のリッツェンの戦い(ウェーデン王グスタフアドルフvs傭兵隊長ヴァレンシュタイン)を転用する事で、それなりに動いた事が大きな理由のひとつである。

シリーズ化とルール体系の確立

 これまで、二次大戦(太平洋戦争含む)、戦国、中世欧州、仮想現代戦と、こまあぷソロアプとして展開してきたものの、各々ルールが異なる点が制作する側・プレイする側で多少の問題となっており、できれば一定の統一ルールを設けたいというのがここ数年の思いであった。
 そして今回は、近世から近代へ進む過程を取り扱う事を考えた。ここで最初に思い付いた人物は、神聖ローマ帝国時代の傭兵貴族ヴァレンシュタインである。彼は30年戦争時にスウェーデン王グスタフアドルフを破った1632年「リッツェンの戦い」の活躍がその筋では有名な人物であるものの、やはり一般的にはマイナーな域を脱しない。そこで少し後年のナポレオンを取り扱う事を考え、会戦の数の多さからシリーズ化の対象とする事にしたのである。

ナポレオンシリーズ

 ナポレオンと言うと1800年代初頭のイタリア戦役や、その後のプロイセンやオーストリア、ロシアとの数々の会戦が有名であり、シリーズものとするには題材が豊富にあるジャンルである。この中で最初に扱う会戦をアウステルリッツの戦いとしたわけだが、援軍など模範的なルールを全て取り入れる事ができそうな戦いであったのも、選択理由のひとつである。
 この戦いとあとひとつくらい選択して、そのルールが上手く馴染み、適用できるのであればシリーズの共通ルールとして制作する事にした。もちろん「ガザラの戦い」から「ロンメル1942」で展開した様なキャンペーンシステムを採用したタイトルも想定している。

ルール体系の改造

 今回はこれまで踏襲していた「手番システム」に手をつける事とした。これはサイの目の大きい方が手番陣営となって行動し、それが終わると次の手番陣営を決める為にサイコロを振るという、とても分かり易いシステムである。但しこれは同じく基本システムである「時間軸」と「ゾロ目」でシステム化された「時間軸+8」で終了システムと合わせて、今のマップの広さが限界である問題と背中合わせであった。
 もちろんユニットの移動力を大きく調整する事で、同時にマップの広さも調整できるのではあるが、今回は先攻後攻ルールを取り入れる事とした。陣営を決めるサイコロで先攻後攻を決定し、先攻2手番、後攻1手番で行動するシステムを基本としてみた。これでAIを構築した後、ターン制へシフトする為の準備にもなると考えてみた。

マイナータイトルのアプリ化

 ソロアプ「ロンメル1942」を制作する過程で、こまあぷver2.0としてゲームエンジンの整理が進んだ。恐らくではあるが、次のタイトルを実装する日数は数分の一に圧縮されると思われる。これが何を可能とするかと言うと、採算化が難しいシミュレーションというジャンルにおいて、更にマイナーなタイトルのアプリ化も可能になる点である。
 もうひとつ、工数が圧縮する事で調整期間に余裕が生まれる点がある。これは信玄上洛の時に、デジタル版のモックアップができた時点で、アナログベースからテスト時間が十分の一以下=同じテスト時間で十倍のテストが可能になった経験を持つ自分としては、かなり大きなアイテムとなる事が想像される。これらの点を活用し、より魅力ある製品づくりにまい進したい。

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