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ウォーゲーム日本史第12号清盛軍記(国際通信社)
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清盛軍記 ―保元・平治の乱―
このゲームはNHK大河ドラマ平清盛に合わせた企画である。
本格的にゲーム化される事がなかったこれらの合戦が巧みなシステム化を図り再現された。
今回の『清盛軍記』はソロプレイも可能なシステムで登場する。これまでも遊び易さが売りであったウォーゲーム日本史が、更に魅力的な進化を遂げている。
そもそも貴重なマイナーテーマが多いのも特徴であり、今回も「保元の乱」「平治の乱」というテーマである。デザイナーは『太平記』などマイナーテーマが売りの中嶋真さんである。
保元・平治の乱が何故ゲームになり難いかと言うと、氏や家長という現在日本が失った概念や、複雑な対立構造がわかり難いからだろう。だが、それ巧みに再現できたこのゲームは、かつての『太平記』同様、いろんな人物や事件を掘り起こすキッカケになるかもしれない。
このゲームは簡単なシークエンスと共に、「保元の乱」「平治の乱」二本のシナリオと、それらを連続プレイする「キャンペーン」シナリオとで構成されている。また「保元の乱」などを平清盛・源義朝との二人が、同じ陣営で競い合う「バリアント」シナリオも用意されており、ボリューム感もある。
【ゲームの基本システム】
- ターンベースで移動と攻撃
サイの目で氏族別に行動
両軍行動できなくなると次ターン - スゴロク方式の援軍システム
メインマップとは別枠で上洛
サイの目で行き先が決定 - 氏族別に基本能力の設定
- 調略の皇族
- 回復の貴族(藤原氏)
- 弓攻撃の平氏
- 騎馬攻撃の源氏
- 個別に特殊能力を設定
氏族能力とは別の個別能力 - 地形効果と放火システム
エリア別に用意された地形効果
地形効果を打ち消す放火
最初にサイを振り、出た目で動かす氏族と数を決定する。
氏は皇族、貴族、平氏、源氏である。これらが両軍動かせなくなると、次のターンへ進むのだ。
戦闘結果はステップを消費して処理する。ここで未行動のユニットは予定していた行動を捨てる事で、1ステップ吸収できる。つまり未行動のユニットは2ステップを持つ。行動済のユニットは1ステップの被害で除去される。ステップの使い方が重要となるだろう。
地形効果として、邸宅エリアは防御効果を持つ。但し三面を包囲されると放火される。放火されると防御効果を失い、その火が拡大するとマイナス効果となる。まさに尻に火がついた如く、討って出る事となるだろう。篭りプレイに陥らないのは、このルールがあるからと言える。
氏族は各々固有の能力を持つ。皇族の「調略」、貴族の「回復」、平氏の「弓」、源氏の「騎馬」である。これに個人別の追加能力や従う郎党などが加わる。
ユニットには、そうした氏族情報と個別の能力、そして二つのシナリオのセットアップ情報とが入っているので、見た目は難しそうにも見える。だが、実際に触ってみると分かりやすい。
具体的に「源為朝」を見ると、氏族として「源氏」、そして平氏の基本能力「弓」の能力をも持つ。つまり「騎馬」も「弓」も使え、最大レート「5」という最強武将である。同様に「後白河天皇」は、皇族としての能力「調略」と個別に「回復」の能力を持つ。
これら特徴ある能力を駆使し、各プレイヤーが閃く直感と共に、有名シーンを口にしながらゲームが進む事だろう。
では続けて、『清盛軍記』のプレイ風景へ進んでみよう。鎮西八郎為朝と、悪源太義平が暴れまわる姿は、敵味方を魅了する。
強弓為朝、保元に挑む
保元の乱の主役は何と言っても鎮西八郎為朝である。
幼き頃の暴れん坊も今は父・為義の代わりに兄・義朝と対するつわものへ成長していた。
保元の乱は、自らの子を天皇へ即位させたい崇徳上皇と、藤原長者に就こうとする藤原頼長が組み、自らの地位を保ちたい後白河天皇と、自らの子へ藤原長者を渡したい藤原忠通とが組み、相対した戦いである。
源氏も平氏も両陣営に別れて戦った為、例えば、源義朝は父親である源為義や、弟である源為朝(鎮西八郎)らと戦う事なる。
頼長「勝ち方を進言せよ」
為朝「夜襲を掛け火を放つべきかと」
頼長「帝位継承の戦に夜襲などならぬ!」
為義「…されど…」
頼長「これだから武士という者どもは…」
先制攻撃を仕掛けようと進言した為朝の言葉は退けられた。負ければ後はないというのに、どうにも難しい「大いくさ」らしい。
頼長「外が騒々しい様だが?」
為朝「敵の夜襲でございます」
頼長「なんと卑劣な!」
普段は防御効果の高い邸宅エリアも、包囲され火を放たれるとその効果を失ってしまう。しかも火が拡大すると、マイナス効果になるのだ。
為朝らは攻め寄せる義朝へ討って出る。自慢の強弓でこの場を乗り切らねばならない。
義朝「兄に矢を向けるとは何事ぞ!」
為朝「父へ刃を向ける事はどうなのか?」
義朝「…」
政局が掛かった「大いくさ」では、こうした親子・兄弟で相対する不幸も発生する。為朝の放った矢は兄・義朝の冑をかすめた。兄なのでわざと外したのである。それを察した兄・義朝もその場を離れる事となる。
メインマップ上で、こうした熱き戦いが繰り広げられる間にも、両軍、地方からの援軍が、続々と京を目指して上洛してくる。
援軍が到着するには時間がかかる。展開が早いこのゲームでは、そんな援軍を待っていられない。まずは目先の敵を、動かせる戦力で撃破する事が優先されるのだ。
史実では負けた頼長陣営であったが、為朝自慢の強弓が、攻め寄せる義朝陣営へ大きな被害を与える。そして遂に義朝スタックを追い詰める。翌ターンの次の攻撃で、必ずや決着をつける事だろう。
義朝「見るべきものは見つ…」
後白河「義朝よ、ほれ、復活の呪文じゃ(注1)」
義朝「うおおっ」
追い詰められた義朝であったが、ここで後白河天皇の魔力が発揮される。後白河天皇の「回復」により、義朝らのステップが復活し、続く氏別行動で返り討ちにしたのだ。
為朝「後白河天皇とは、古今未だ見ず聞かざる魔物なり」
為朝が討ち取られた事で形勢は逆転。日本一の弓取りより、恐ろしきは後白河天皇の魔力。そもそも藤原氏が持つこの能力は、今後も波乱を引き起こす事だろう。
だが保元の乱の結末は、新たに次の火種を燻る事となる。
義平無双、平治を駆ける
平治の乱の主役は義朝の長男・悪源太義平である。
叔父・為朝の剛勇ぶりを継承する強き若武者へと成長した彼を敵味方・誰もが恐れた。
保元の乱より三年。改革を進める信西(藤原通憲)と、藤原信頼との亀裂は次第に深まり、新たな政変へと転じていく。そして終に平清盛が熊野詣へ下った留守中、事件は発生する。
信頼は、信西に恨みを持つ勢力を取りまとめ、信西暗殺のクーデターを実行したのである。信頼と親しかった源義朝など、主に源氏の武士たちの多くが信頼側についた。十九になる義朝の長男・義平も馳せ参じ、今先ほど信西を討った信頼は上機嫌である。
信頼「望みの官位を呉れてやろう」
義平「そんな事より清盛討つ準備を」
信頼「そう乱暴な事を申すな」
義平は「鎌倉悪源太」と呼ばれていた。鎌倉に住む強き源氏の若大将という意味である。保元の乱の前年には、武蔵の国で叔父の源義賢(木曾義仲の父)を襲撃し、討ち取ったつわものである。その時の武蔵守が信頼であった。その頃からの仲である。
熊野にいる清盛らは援軍扱いである。マップへ登場する隙を突こうとする進言は、信頼に「くたびれる」と一蹴されてしまった。
そこへ清盛一行が到着し後白河陣営は活気づく。逆に信西憎しだけで繋がっていた集団は、その共通項がなくなり瓦解する。
数で巻き返す後白河陣営に、業を煮やした義朝は義平に押し返させる。
義平「悪源太義平が見参、我こそと思わん者は寄れや寄れ!」
重盛「ならば」
重盛従者「なりませぬ!」
義平のレートは為朝と同じ「5」である。鬼人の如く暴れる義平に勝る武将はいない。義平の奮闘により、勝ちが見えたその時、またも後白河の魔力が光る事となる。摂津源氏の源頼政が「調略」(注2)され、裏切ったのだ。
頼政「はっはっは」
由緒ある摂津源氏には、古に源頼光が酒呑童子を討ち取った頃より付き従う、渡辺党もついている。戦うと義平らも大きな被害も受けるだろう。
ここでの裏切りは許されない。翌ターンの突撃を決心した時、またも後白河の調略が冴える。源光保までもが裏切ったのだ。
光保「二条天皇も見当たらぬしのう」
義平「貴様だけは、絶対に許すまじ!」
だが、ここまで獅子奮迅の激闘を続けてきた義平も、父・義朝と共に、終に力尽き討ち取られてしまう。
光保「悪源太よ、観念せい」
義平「俺の首は呉れてやるが、貴様の子孫は末代まで、雷神に呪われる事だろう」
無双を誇った義平も斬られた。だがその義平を討ち取った光保も、直後、雷に打たれて死んでしまう。義平雷神説の始まりである。
後世、光保の子孫という明智光秀も、嘘か真か雷に打たれて死んだという。
以上が単体シナリオのプレイ風景である。では、これとは別に収録されているキャンペーンとバリアントを続けてみよう。どの様な違いがあるのだろうか。
平清盛vs源義朝
『清盛軍記』には保元・平治のキャンペーンシナリオと清盛・義朝が共闘するバリアントシナリオが収録されている。これらが語りかける世界とは。
一一五六年の保元の乱では、平清盛も源義朝も、共に後白河陣営で戦い勝利者となる。そしてキャンペーンシナリオでは、平治の乱シナリオへ続けて進む。
バリアントシナリオでは、保元の乱では清盛と義朝が同じ陣営で競い合い、平治シナリオでは必然的に清盛と義朝とに別れて戦う事となる。
ユーザー側の要望として、当然、連続プレイしたい思いは発するのだが、単体シナリオを続けてプレイするのと何が違うのだろうか。またゲームを通して語りかけたかった思いとは、どうした思いなのだろうか。
清盛「共に良き国作ろうぞ」
義朝「…」
保元の乱シナリオにおいて、両者がいる後白河陣営は頼もしい。サイの目「5」で源平双方動かせる時など、頼もしいツートップとなるからだ。為朝頼みの崇徳陣営は、為朝がいなくなると負けみたいものだが、この激しいぶつかり合いが楽しさを彩る。
だがキャンペーンを考えると、両者共、後先考えた思惑の応酬劇へと変化する。
後白河もしくは清盛陣営からすると、為朝は除去しておきたいユニットである。彼が生き残り、平治の乱でも敵となると苦しいからだ。逆に崇徳もしくは義朝陣営からすると、為朝は生かしておきたいユニットとなる。次も働いてもらえる可能性が出てくる。もうひとつ、後白河・清盛陣営としては、義朝も保元で葬りたい感情が出る。次のシナリオを考えると、源氏同士での相打ちが望ましい。
義朝「どうか我が恩賞と引き換えに、父である為義、弟の為朝の助命を!」
史実と形は異なるが、保元の乱で勝利した後の義朝の気持ちである。単にユニットとして扱う事ができると有利なだけであるが、こうした思いを沸き立たせる点が、これまた憎い仕掛けとゲーム作りである。
キャンペーン・バリアントシナリオは、単体シナリオと違い、後白河天皇と清盛視点の嫌らしい大人のかけ引きと、義朝の複雑な感情を体験できるシナリオである。
この事をデザイナーの中嶋真氏へ問いかけた所、「続けてやってみたかっただけ」と見事にはぐらかされてしまったが、シナリオの本質はここにあると言えるだろう。活字だけでは表現できない貴重な体験を、ゲームを通してできるのである。
一一五九年の平治の乱は、もちろん史実の発生起源は信西と信頼にある。だがゲームでは、保元の乱の途中から先々の思惑が入り乱れ、そして平治の乱へ突入する。
義平「我こそは鎌倉悪源太なるぞ!」
保元シナリオでは登場が厳しい義平も、平治シナリオでは活躍する。これに為朝もが加わった場合、まさに源氏無双の世界だろう。そうして勝利した世の中は、「源氏にあらずんば~」の世界なのだろうか。負けた平氏は西国へ落ち、以仁王の挙兵と共に立ち上がるのだろうか。
先に出たウォーゲーム日本史第10号『源平合戦』は、平家が都落ちした後、再起を図る場面からのスタートとなる。なんだか平治の乱にて、清盛側が勝っても、義朝側が勝っても、似た様なシチュエーションからスタートができそうだ。源氏の御曹司vs平家の公達の構図で再現されているからである。
そう考えると、この半年がかりの源平シリーズは、ウォーゲーム日本史編集長のしたたかな展開であると言えよう。「いちねんせい」という名に騙されてはいけない。
いちねんせい「これ見給え、殿ばらよ~」
これより物語は、『源平合戦』の瀬田と宇治川の戦いへ続くのである。
ウォーゲーム日本史第10号源平合戦(国際通信社)
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源平合戦─寿永の乱─
『源平争乱』と同時期に発売の『ウォーゲーム日本史第10号』では平家の都落ち後を取り扱っている。義仲勢力の登場も興味深い。それではご紹介を続けよう。
【胸熱の世界観を演出】
対戦ゲームであるこのゲームでは、瀬戸内を中心としたマップで源平のシーソーゲームを展開する。近江から攻め入る源氏(頼朝軍)と、水島で踏ん張りつつ、西国九州より再起をはかる平家という構図だ。
まずは、平家方がコントロールする義仲軍と、頼朝軍とが衝突するだろう。そう、主・義仲を庇いつつ、獅子奮迅の働きを見せる今井兼平が、瀬田の橋板を外し取り、義経らと戦うあの有名な場面が緒戦を飾る。平家物語を彷彿させる、胸が熱くなるシーンからのスタートが、何とも心憎い設定なのだ。
【源氏と平家の構図】
いくら演出を高めた所で、ゲームとして成立しないと面白くない。常に源氏が勝つだけのゲームでは、平家を担当してくれるプレイヤーはいないだろう。
また平家物語では弱い平家を演出しているが、実際どうだったのだろうか。上洛後の義仲との戦いなどでも意外と善戦しており、思われているほど弱くはない。負けた原因は別にあると考えられるが、ここでその話しは省略する。
スタート時点での義経と景時ユニットから、レートが高いと感じる源氏方であるが、全ユニットの戦力を見ると、実は両軍のバランスは拮抗している。そして平家方は初期配置でこそ優勢に見えるが、次第に源氏のユニットが増えてくる為、持久戦は苦しくなるだろう。
ともあれ義経と景時のスタック戦力は強力であり、かなりの確率で平家方のユニットを除去できる。平家方は砦を活用したり、できれば海戦へ持ち込みたい。源氏方は海戦時に、戦闘力ゼロの水軍ユニットを必要とする為、一ユニット減少する事で戦力が落ちるのだ。(五ユニットがスタック制限)
陸戦で蹂躙したい源氏方と、陸では砦で凌ぎつつ、海戦へ引きずりだしたい平家方の構図は、こうして再現されている。
【演出を高めるルール】
ユニットの中に後白河法皇が存在する。勝利条件に影響するので、法皇様の奪取や囮としての使い方も、ゲームの流れに影響を与えるであろう。
また特別ルールとして「三種の神器」がある。これも同様に、平家方が海戦へ誘導する為のアイテムとなり得る。このルールを用いた場合、「内裏」や「安徳天皇」ルールも追加できる。ゲームに慣れたなら、是非とも追加ルールを用い、異なるプレイスタイルも楽しんでもらいたい。
【爽快感あるシーソーゲーム】
戦国と源平の違いとは何だろう。戦国時代は、割拠した群雄達がコツコツ成長する時代である。その結果が統一であり、ソロプレイ中心の戦略級デジタルゲームとの相性が良かった。対して源平はというと、ダイナミックなシーソーゲームが時代を彩る。という事は、対戦アナログゲームとの相性は良く、当然このゲームもその相性の良さが目立つ。
チマチマと戦線を構築し、部隊の投入に頭を悩ますゲームも楽しいのではあるが、こうした極めて流動性の高い、爽快なゲームも楽しんでみてはどうだろうか。
逆襲の宗盛
富士川から壇ノ浦まで、一方的にやられたイメージの平家も、都落ちした後は立て直しを図る。
まずは水島で義仲軍を破り、続いて行家軍も撃破する。この時点では、平家の入京も可能だと思われており、まだ上洛してない頼朝軍とも、対等に戦えると思われていた。
まずは当時の状況の取りまとめ。平家物語の世界では、義仲・行家を撃破し、勢いに乗る知盛は都を目指そうとする。それを宗盛が宥め、法皇との駆け引きが始まる。
押し寄せる頼朝軍に対し、平家方も反撃できる戦力を擁しており、法皇は駆け引きを続ける。これらをゲームの中では、次の様に表現している。
【ゲームのポイント】
- 兵力の表現
義仲軍は平家側が操作
序盤から多い平家
次第に増える源氏 - 能力の特徴
海を自由に移動可能な平家
最強レート「4」の義経
スタック内修正「+1」の景時
レートは両軍共カードにより補正 - その他
ポイント地点の早期奪取が重要
このゲームも源平争乱同様、義仲・兼平主従が登場する。これはデザイナーの思い入れの深さだろう。勢力としての意味は薄いが、このユニットのお陰で、感慨深きスタートとなるのである。
義仲「今日の鎧は重きもの…」
兼平「我等は『源平争乱』にて活躍しましょうぞ!」
平家方が操作する義仲主従ではあるが、戦力としては見込めない。敵を削れると良いのだが、ここでは時間稼ぎができれば、それで良しとしよう。
この義仲滅亡までのちょっとした間が、実は平家側にとって貴重な時間である。
次第に増強される源氏なので、平家方は持久戦を望まない。また源氏方としても、早期にポイント地点を奪取しないと辛い。これらの設定から、序盤より膠着せず、両軍がぶつかり合う傾向が強い。
このゲームは、こうしたバランスで上手く設計されている。
義経「山野を越えガンガン行くよ」
景時「慎重に行動なされ」
僅かながら精強の先遣隊である、義経・景時らのスタックは超強力だ。平家方としては、これを封じ込める作戦が重要である。
次第に増強される源氏方も、早急にポイント地点を制圧しなければ、という脅迫観念に支配される。今回はここを突く事にする。備中を手薄にして敵を引き寄せ、主力は屋島へ集結。備中へ援軍を送れる様に見せかけ、実は京を襲撃しようという作戦を練った。
知盛「我等が備中で食い止める隙に」
宗盛「一気に都へ攻め上ろうぞ」
ミューズ川ならぬ淀川を越えて、アントワープならぬ京の都へたどり着くというものだ。なんとなくバルジの戦いを彷彿とさせる。
知盛「兄者…戦は数だとかなんとか」
宗盛「法皇を捕らえるまでの辛抱だ」
都を目指す以上、遊撃軍と言えど主力をこちらへ回した結果、知盛の軍は寡兵となる。だが、その代わりに教経を配置し、「教経の奮戦(*1)」カードを用意した。この義経キラーが準備できているからこその作戦なのだ。
天下の大天狗・後白河法皇を捕らえる事は、ポイントにも繋がる。備中が脅かされる代わりに、こちらもカウンターアタックを仕掛け、電撃的に勝負を決する完璧な作戦である。
意気揚揚と突き進む宗盛一行。だが、河内より京を目指そうとするその時、出てきたのは「後白河法皇の親書(*2)」。
知盛「…な…なんと…」
宗盛「天狗じゃ!天狗の仕業じゃ!」
こうしたカードドリブンシステムにより、ゲーム性が高まり流動的に場が動く。こちらの完璧と思われた作戦同様、敵も自信満々の様子である。何か良いカードを持っているのかも知れない。
これより、囮となった知盛は報われるのか?宗盛の行方は如何に!
*1 義経がいる場合の教経は+3
*2 戦闘でサイコロが振れない